論理の感情武装

PDFに短し、画像ツイートに長し

それでは、2022年10月のハイライト映像をお届けします。

こんにちは。マシンガンオヤジギャガー小児科医でおなじみのイルリキウムです。

 

しかし、例えば「助かるわ。あらいぐまタスカル」とか「発作的に出ちゃう。発作マグナ」みたいなのは、"オヤジギャグ"と言って良いんですかね。なんか、この言葉には、周囲が辟易しているのにしつこく言ってくる、というような否定的ニュアンスが付き纏っているように感じます。そういうのではなく、さらっと小声で一発しか言わないやつなんですよ。ある意味、口癖であり、発作です。発作マグナ。

"ダジャレ"にはもう少し文脈の合致性やストーリィ内の引っ掛けがあって然るべきだし(ex. アルミ缶の上にある蜜柑、暗い中でクライミングなど)、押韻というほど芸術的なものではないので……。何か良い表現はないでしょうか。

 

「オヤジギャグ」に相当するモノを指す語を調べてみると、英語でdad joke、韓国語で아재 개그、フランス語でblague de papa、スウェーデン語でpappaskämt、ポルトガル語でpiada de tiozãoと表現するらしい。どこかを端に発した借用かもしれませんが、どのお国でもおっさんの言うことは似ているってなわけです。

 

先月の振り返り記事が局所的に好評だったので、10月もサクッと振り返ってみることにします。

あと2ヶ月で今年が終わるということを信じたくないので、過去を見て気を紛らわせようとしています。過去過去。カコン。鹿威し。

 

 

猫カフェ

休日の当直明けに猫カフェへ行った。

突然だが、私は「人間語を喋らない生物」を総じて好まない。ルールの確立されたコミュニケーションツールが存在しない相手とは気持ちを通わすべくもない。したがって、私は動物園に行ってもパネルに書かれている学名を見てヘラヘラするのみである。ちなみにハシビロコウの学名って知ってます? Balaeniceps rexっていうんですけど、balaeni-はballaena「クジラ」から来ていて、cepsは言わずと知れた「頭」、rexはティラノサウルスでおなじみで「王様」という意味ですよね、クジラ頭の王、ってことなんですよあれクジラに見えたんですね、和名の「嘴広鸛」の方が圧倒的にセンスがあると思いませんか、そういえばこの学名、B. rexって略せますけど、ティラノサウルスにもボブさんが見つけたから「B-rex」という愛称で呼ばれるやつがいてですね、いや私は全然恐竜には興味ありませんしなんならハシビロコウにも興味ありませんけどなにか

 

しかしこの日は、今までにやったことのないチャレンジをしたくなる日であった。そして読みたい本もあった。

のんびり本を読めて、かつ今まで行ったことのない場所として、何度か前を通りがかっていた猫カフェに白羽の矢が立ったのである。

 

スピン(栞紐)に狙いを定めるネコ 品種は知らん

私の少し前にはカップルが、私の後ろからは女子高生の3人組が控えており、やはり猫カフェというのはそういうきゃぴっとした場所か、と慄きつつ入店すると、いかつい兄ちゃん2人組がボードゲームをやって猫の興味を釣っていた。こわっ。人は見かけによらないの典型例だが実際見るとこわっ。お前らみたいな見た目の奴は駅前で水商売に女の子たちを勧誘してるタイプのアレだろ。こわいことすんなよ。

 

ドリンクバーとトイレは、ネコには開けにくいタイプの扉の向こう側にあり、空間管理がなされている。私はぶどうジュースを1杯注ぎ、部屋を見渡せる端っこに座った。床に体育座りをし、背中はブロック型のソフト椅子に委ねる格好だ。

20分くらいそのまま読書をしていたのだが、風雲急を告げる。私の立てた足の間にするすると入ってくる猫がいたのだ。どうしたどうした。すると、持っていたハードカバー本が下方へ引っ張られた! キャーーー!!!

無意識に垂れ下げていた栞紐を猫に引っ張られたのである。ぷらぷらするそれが、猫じゃらしのように、何らかの本能を刺激したのだろう。予想外だった。

 

家の近くで見かける野良猫たちは人の姿を見るとドドンパのごとき初速で逃げ出すのに、違うものだな、と思いながら、この猫としばらく遊んでみた。これで日本語が喋れたら可愛いかもしれないけどなぁ(想像したら可愛くなかった)。

 

 

漢字ミュージアム

京都は祇園に、「漢検漢字博物館・図書館」、通称・漢字ミュージアムという施設が存在する。2016年にできたばかりの施設で、一度足を運んでみたいと思っていたが、行く機会を得た。

彼女が一緒にいたのだが、入口ゲートを通ってすぐの場所に掲げられている、協賛や協力者のプレートの前で、「あっ、阿辻さん笹原さん……」などと知っている漢字業界の有名人の名前を見つけてはほくほくしたり、「鑁阿寺の鑁(バン)ってどういう意味やねん」と知らない漢字を調べ始めてしまったりしたので、この全く展示物として扱われているわけではないプレートの前で10分を費やした

www.kanjimuseum.kyoto

この博物館の見どころは、何といっても"漢字5万字タワー"である。『大漢和辞典』に収録されている親字およそ5万字が、エレベータータワーの外壁にびっしり印字してあるのだ。所狭しと。まるで耳なし芳一の経文のごとくに。

ほらもうこれよこれ

家に5万字ポスターがあり、実質は同じものなのだが、このタワーの方はランダムに並べられているという点で一線を画している。楽しさが違う。知らない漢字の隣に、部首も画数も違う、何の関わりもなさそうな別の知らない漢字が鎮座まします。へへへ……じゅる(流涎)

2人揃ってこのタワーを舐め回すように読んでいたが、どうやら周囲の来館者はこのタワーを読む物と捉えていないようで、「あっ俺の名前の漢字あった」などと下らん遊戯に興じている。漢字ミュージアムというからには、漢字オタクが集まるものかと思っていた。決してそうではないようだ。本当に老若男女問わず来館している印象で、これには建てた側もニッコリであろう。

 

なお、最もテンションが上がったのは、私が先月の記事(2022年9月を振り返っておけよ! ブログなんだからさァ! - 論理の感情武装)で取り上げた「」の字を、年表の途中に見つけた瞬間である。爆笑して膝から頽れた。もう忘れない漢字。なんでこんな漢字から覚えなきゃいけないんだ。もう一回言っとくけどJIS第4水準だぞ

簋は、神に供える穀物を盛る円形の宝具のこと

 

グリーン車

友人に引きずられてとあるライブに行ったが、その友人がカジュアルに快速グリーン車を選択するので驚いた。

確かにグリーン車は快適である。快速がすでに"快い"ものだから、マシマシの快さである。しかし、別に株で大儲けをしているわけでもない友人が課金するほど快適なのだろうか。その友人は、やや目立つメイクとやや目立つ格好をした女子だから、7人掛けでおじさんの隣になるのは嫌なのかもしれない。

 

私は自分でグリーン車を選択したことが2回ほどしかないので、古い記憶を辿りつつ、ホーム上のグリーン車券売機を操作してSuicaにグリーン券情報を叩き込んだ。空いている座席を見つけて座る。天井にはSuicaを読み込ませるタッチ部があり、これで席の占有権を示すようだ。

 

私「いつも快速乗るときグリーン車?」

友人「だいたいそう。基本座れるし。あと飲めるし」

私「ふうん、なるほどね……。確かに2階席からの景色はよい」

友人「景色そんな変わる?」

私「風景じゃなくて。人が下に見えるからね。超越者、殿上人たる我々に相応しい

友人「思想やば」

私「みんなそう思って乗ってるんでしょ」

友人「君だけだろ」

 

 

柳屋ビルディング

東京メトロの任意の駅から伸びる地下道を、あてもなく歩くことがある。

東京駅から日本橋の方にてくてく歩いていたときに、そのロゴが目に入った。柳屋ビルディングである。

目に鮮やかな配色

このロゴを見た瞬間、私の脳裏に浮かんだのは、まさに源氏香図であった。

源氏香というのは、いわば"同じお香当てゲーム"(これを「組香」と呼ぶ)である。5種類のお香を5包ずつ準備し、完全ランダムでそのうち5つを選ぶ。この5つのお香を順に聞いたのちに、どれとどれが同じお香だったのかを当てる遊びである。

5種類が5個ずつあるので、すべて同じお香の可能性もあれば、すべて異なるお香の可能性もある。そうして、右から5本の縦線を引き、同じだと思ったお香を横線で繋いで出来上がる図案が、源氏香図である。それぞれに源氏物語の帖名がつけられているため、源氏香と呼ぶ。

柳屋ビルディングのロゴを見てみると、右から1, 3番目の縦線と、右から2, 4番目の縦線がそれぞれ横線で結ばれ、右から5番目の縦線は単独である。つまりこれは、「1, 3番目のお香が同じもの、2, 4番目のお香が同じもの、そして5番目のお香はどれとも違うもの。3種類のお香を聞いた」という意味になる。

源氏香 - Google 検索

 

さて、さすがに全部の図案は覚えていない。このロゴはなんだったかな……なるほど花散里か。柳屋という帖はないからな……しかし花散里とこのビルに何の関係が……?

いや、ちょっと待てよ。

ほんの少しだけ違う!?

源氏香図では、上に邪魔する横線がなければ、単独の縦線は一番上まで高さがあることになっている。しかし柳屋ビルの方はどうだ。一番左の線の高さが足りないではないか!!

これは源氏香とは関係ないのではないかという疑念が生まれる。他の可能性としては、ロゴ自体がビル群の意匠化に見えないこともない。実際にこういう風な建物の配置に見える位置があるのか……?

 

答えはこのHPにあった。

guidetokyo.info

 

曰く、「柳との文字の相同性から、花散里の図をモチーフにした」とのこと。やはり源氏香が由来だったのだ。

……え、そんなに似てるか? どっちかっていうと、柳の字は、縦線の1, 2, 4番目が繋がっていて、3番目だけが離れているように見えないか?

すると澪標の方がしっくりくる。

これは……ただの帖名である澪標とは違って、花散里は源氏に愛され(正室葵の上、事実上の正室紫の上、とすると)事実上のトップオブ側室だった才媛の名前でもあるから、なのかな……(邪推)

まあでも、これでロゴの謎は解けました。やったね!

 

2022年9月を振り返っておけよ! ブログなんだからさァ!

こんにちは。インモラリスト小児科医でおなじみのイルリキウムです。

子どもたちから風邪をもらったのか、痰が絡んだ咳が出ます。さっき咳き込んだら180dBの爆咳(ばくがい)が出てしまい驚きすぎて180dBで「ワァ!!」と叫んでしまいました。隣部屋の方ごめんなさい。

 

おなじみ

2022年も9月が終わるようで、年始から数えれば4分の3、年度では半分が過ぎ去ったことになります。ヤバすぎ。

ヤバすぎて八ッ場ダムになってしまう前に、今月の我が心象風景を文字にしておきましょう。モジモジくん門司港。モージー・ロバートソン。(←現実世界ではこんなことばっかり言っています)(←マジです)(←モジです)

 

 

ディズニーシー

ディズニー狂いの友人がディズニーシーをアテンドしてくれた。

しかしこれは、「この日にディズニーへ行こう」と計画されたものではなく、都内で会っていたら、途中から「これからディズニーへ行くのはどうか」と提案された結果である。私のようなディズニーと縁遠い者からすると、「思い付いてディズニーへ行く」という行動自体が驚愕のフッ軽ムーヴだ。「これから日本ディアボロ協会の事務所に行ってディアボロの指南を受けないか」という提案の方がまだ現実味を帯びているように思える。

www.diabolo.jp

 

ディアボロ……ではなくディズニーシーに私が訪れたのは、シーが開園したその年が最初で最後であった。いくつかのアトラクションに乗ったことを覚えているが、その中でも強く印象に残っていたのは、マーメイドラグーンにある「ジャンピン・ジェリーフィッシュ」だ。クラゲが上下動するだけなのだが、海の中を模したトンチキカラフルな空間をふわふわ動くのが楽しかった。よく考えると、私はジェットコースターよりフリーフォールが好きなので、恐らくy軸方向の移動が好きなのであろう。

クラゲ

友人は、私が乗ったことのなかったソアリンやタワー・オブ・テラーなどなどを案内してくれ、それはもう感動的な体験であったのだが、無理を言ってクラゲにも再会させてもらった。クラゲを見た瞬間、私は「クラゲ……」と呟き大粒の涙を、いや海水を流してしまった。何らかのキャラクタではなく、上を下への大騒ぎをしている無機質なクラゲを見て感動の涙を流すなど、およそまともなシーの楽しみ方ではない。

私は、"テーマパークを楽しんでいる人間"を演じられない質である。日本円を支払わなくてはいけない国など、夢の国のわけがないと思ってしまう。友人は、そんな私でも興味を惹かれるようなディズニー豆知識をチョイスして披露してくれた。大変ありがたい。

この日私が最も驚いたのは、チュロスは複数形である、という事実である。すぐにwiktionaryを引いて調べた。マジやん。うわぁ。

 

 

電脳チャイナパトロール

株式会社バーグハンバーグバーグの社員である加藤亮氏が手掛ける、「電脳チャイナパトロール」シリーズのTシャツを買った。

どうも、電脳チャイナパトロールです

職場にはスーツで出勤する必要が無い。私はスーツやYシャツの類が好きではないので、夏場は専らTシャツである。かやたんの3期ビジュアルのやつとか、空気階段の4th単独のやつとか、S&Bのわさびのやつとか、11ぴきのねことか、何かしらのイラストが描いてあるシャツばかり着ている。無地は嫌いだ。

長らく新しいTシャツを買っておらず、20着くらいをぐるぐるぐるぐるどっかーんと着回していたので、晴れて新しいシャツを仲間入りさせることにしたのである。これで21着で着回せるようになった。

 

それにしても驚くべきは、電脳チャイナのグッズ展開の多さである。"1803点販売中"と書いてあった。

基礎デザインは既に決まっていて、注文が入ってから印刷するのだろうけど、1800点って。笑っちゃうでしょ。教育漢字が1,026字だからそれより遥かに多い。パーカーもコップもウエストポーチもある。えっ、これもしかして、どんなタイトルでもこのくらいグッズ準備されてるのかしら? コレクターオタク破産待ったなし。

 

 

篠笛篳篥

私が一番好きな部首は、世の中の多くの人がそうであるように、「たけかんむり」である。きっとあなたも好きでしょう、たけかんむり。東陽町で100人にインタヴューをしたら71人が「たけかんむりが一番好き」と答えるに違いない。

「竹」という漢字が好きだ。一見して象形文字だということが分かるフォルムでありながら、この、左右のパーツが異なるフォルムを持つ、アシンメトリィさが憎い。「山」とか「牛」などとは一線を画す。山はせいぜい三流誌の読モ止まり。一方、竹はパリコレを視野に入れている。Sophisticated. Incredible! Extremely fantastic!!!!!

たけかんむりになると、3画目がひっそりとした点に変わり、6画目が短い左払いになる。スナップを効かせて払う! この6画は全てが短い点画にも拘わらず、それぞれが個性を迸らせている。たけかんむり最高。たけかんむりこそ神。神という漢字にはたけかんむりを付けた方が良い。

 

たけかんむりが好きというからには、たけかんむりの漢字をありったけ挙げられるようにしておかなくてはいけない。そう思い立って記憶の限り列挙しようとしたのだが、ま~~出ない出ない。10個も出なかった。たけかんむり好きの名折れである。名折れ過ぎる。ナオレ=スギル(1403-1449)。

そこで、たけかんむりの漢字一覧を眺めながら、人の名前を作ることにした。こうすれば覚えられるだろう。効率がよい。

籠筵ちゃんはマジで西尾維新作品に出てきてもおかしくないと思っている。

 

ちなみに、手元の『漢字源』では、竹部にざっくり300くらいの親字が挙げられていた。どれどれ……

 

【簺】サイ 古代のゲームの名。双六の類。

【簋簠】キホ 簋と簠。神に供える穀物を盛る円形と方形の二つの祭器をあわせていうことば。

 

知らねぇ~~~~~!!!!!!!

なんで簠がJIS第3水準で、簋が第4水準なんですかぁぁ!!?!?!?!

 

 

BLEACH

BLEACH』原作最終章にあたる、千年血戦篇のアニメ放映が迫っている。

私は一番好きな漫画を問われたら高確率で『BLEACH』を推挙する男である(本来、好きな〇〇が確率で決まってはいけないのだが)。腹の立つ上司が現れたときに、いつでも重力の奔流で圧し潰すことができるよう、黒棺は過誤なく詠唱できるようにしている

BLEACHの魅力のひとつは、キャラクタや技・用語の名付けにあろう。久保先生は各国の響きの良い単語などを収集していることを明かしている。その名付けに懸ける熱意は、執念と言って差し支えない。

千年血戦篇はそれはもう私の性癖が現れては現れ、次から次へ現れたかと思ったらまた現れる、快感地獄のようなチャプタであった。それは、私が2年に亘って勉強していたドイツ語を主に用いる種族・滅却師(クインシー)がメインに据えられた物語であることにも起因するが、つよつよクインシー軍団の「星十字騎士団(シュテルンリッター)」の面々があまりに多国籍軍である、ということの影響が大きい。これまで登場した敵キャラたちも、色々な国の名前から引っ張ってこられてきてはいたものの、シュテルンリッターのように30人弱がまとまった集団において、これほどヴァラエティに富んだ名前が散りばめられていたのは初めてであったように思う。

だって、エス・ノト Äs Nödtって人と、蒼都 Cang Duって人と、ユーグラム・ハッシュヴァルト Jugram Haschwalthって人が同じ集団にいるんだよ? エス・ノトのスウェーデン感すげぇな。国連か?

 

そんな中で私が一番好きなお名前は、何を隠そう、グレミィ・トゥミューである。

dic.pixiv.net

 

戦闘自体ももちろん好きで、更木vs.グレミィは屈指の名カードとしてファンの間でも評価されているところではあるが、それどころではない。トゥミューである。綴りはThoumeaux! フランス系のケイジャンにある名前の語尾だ!!

確かにゾマリとかもそうだったよ? ルルー Rureauxだもんな。だけどあいつはなんかホラ……違ってだな……。

これがそそるのは、-eauxの発音は「オー」であるはずなのに、トゥミ"ュー"と読ませているところだ。どちらかといえば、-euxならば「ゥー」に近い。だがそうしていない。横文字表記でも、カタカナ読みでも、最もオサレな綴りを選んでいるに違いない。グレミィのルックスにぴったりくる。あーそそりますね。濡れる。だからゾマリは違うんだよ帰れって。

あ、戦闘だけで言ったらもちろんマユリvs.ペルニダが超楽しみです。絶対泣くわ。

「Why don't you eat MONACA? Vol.4」感想&鉱物にたとえてみるのコーナー

 

イルリキウムです。

 

そういえばこの前地元の本屋さんに行ったとき、小中で同級生だった友達のお姉ちゃんに似ている人がレジに立っててですね。当該お姉ちゃん、確か私が中学生だった頃に、その本屋でバイトをしていたんすよ。でもそれってもう13, 4年前だしさすがに……と思って名札を見ると、やっぱりその友達と同じ苗字が記されてるんですよね。髪型も苗字も、なんなら目元とかもずっと変わってない。もう8割くらいそのお姉ちゃんで間違いない、けどなぁ、と、思ってるうちに、会計終わっちゃって。で、実家に帰って母親に訊いてみたら、「〇〇ちゃんあの本屋さんに就職したみたいだよ」って言うんです。あ~やっぱり合ってたかぁ! って

 

 

 

 

 

 

お待ちかねのMOタクコンピvol.4がリリースされた。

 

冒頭のクソエピソードトークは何?

 

今年は当直が重なりM3春にお邪魔できなかったため、いじけた私はクロスフェードを聴いておらず、「どうせ私は聴くしか能がないくせに楽曲ブログも去年の12月以来あげてないですよーだ」と美少女ロリにしか許されない拗らせを発揮していたのだが、M3の翌日には通販で注文していた。許せまくらよ……。

 

 

さて、これまで私が公開したMOタクコンピ感想記事を振り返ってみる。

 

i-verum43.hatenablog.com

i-verum43.hatenablog.com

 

ぶっちゃけどう?

自分の曲が「聴診器」とか「肝臓」とか「バルフォア開創器」とか「マイスネル小体」とかに喩えられて嬉しい??

 

ってなわけで、今回は喩えられたらきっと嬉しいジャンルであろう、鉱物を取り上げてみた。カラフルだしキラキラしてるし、これで喜ばない人はいない(打算)。なんで最初を医療器具とかにしてしまったんだ(後悔)。まいっか(楽観主義)。

 


1. FULL CAST

 作詞:カシラテ
 作曲・編曲:内野
 Vocal:夢芽
 Bass:カシラテ
 Guitar:なっさん
 Piano&Organ:λ
 Mixing&Engineer:上田尚史

 

ブラスセクションが前景に立った、快闊なビッグバンドサウンド。ネオン煌めくストリートを、我が世とばかりにターンする、そんなミュージカル主人公の姿が目に浮かんでくるようだ。

「レッスン」「オーディション」「パレード」なんてワードが聞こえてきたので、曲調と併せるとふーむこれはもしかして……、と思っていたところに、特徴的な間奏がやってきた。もう間違いない。伝説の開幕SHIFTを思い起こさせる。

歌詞カードに目を遣ると、他にもいくつかのキーワードを拾うことが出来た。愛だね。

ピアノからギターのソロ回しが素敵。熱っぽいブラスに中てられることなく、ちょっと甘い雰囲気を湛えている。強のブラスに対して、強のソロをぶつけてしまうと曲全体が暑苦しくなってしまうが、見事にそれを回避している。音色の選択、ミキシングも、この柔らかい雰囲気に寄与していそうだ。

 

Bメロでようやくヴォーカリストが夢芽さんだと特定できた。逆に言えば、いわゆるアヴァン(イントロ前)の台詞では確信が持てなかったわけだ。
〈ライ"ブ"へようこそ〉の箇所で、母音の/u/が流れて聞こえるのはむしろナイスで、〈It's show time!〉へ向けて入り込んでいることの証左。音符の無い部分にあって、こうしてリズミカルに言葉を紡げるのは、swingする曲調へのパイロットとして格好の存在といえる。仮にこれを計算ではなく感覚でやっているとしたら凄い……。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(http://annfell.angelhigh-law.com/?cid=79)

これはタイタナイト(チタン石)

最初から石ではなく宝石としてのイメージから選出してしまった。宝石としてはスフェン(楔石)とも呼ばれ、こちらの名前の方が有名かもしれない。

宝飾品としてカットされたスフェンの特長は、その屈折率の高さ、複屈折性の強さ。光が入った際に、緑系だけではなく、赤や黄色などの豊かな色彩で、激しい七色の輝きを放つ。「ファイア」と呼ばれるこの性質が、ダイヤモンドよりも強いといわれるのがスフェンなのだ。

本曲を特徴づける金管隊の絢爛さ、そしてここから始まる12曲への期待感は、まさしくスフェンのファイアさながらである。

 

 

2. フレンチキネマはセピア色

 作詞:桜木うみ
 作曲・編曲:Happiya
 Vocal, Chorus:nade.
 Electric Guitar, Acoustic Guitar:なっさん
 Fender Rhodes, Synth-Programming, Mixing:Happiya

 

ん~~いいですね。なでちゃんはAメロ辺りの音域で気だるげに歌ってくれるのが似合うね。丸椅子に座って足組んで、床の方を見ながら歌っててほしい。

はぴや氏はキルフェボン好きで、カフェに似合う曲を書いたとのこと。キルフェボン美味しいよね。なんでうちの県に無いのかな。ラ・メゾンに行くからいいんだけどキルフェボンあってほしいよね。なんで? ねえなんで??
それはともかく。日常に溶け込んで会話を邪魔しないメロウな雰囲気に仕上がっている一曲。これは「至高のオーガニックミュージック」……と思っていたら、急に7拍子になった。漏れてる漏れてる、フュージョンの血が。とはいえ、ばっちゃんばっちゃんシンバルを叩く感じではなく、控えめになるように考慮されていた。

 

フェンダー・ローズかぁ。アコギとの絡み合いは非常にセクシィ。こう聴くと、なでちゃんの声、フェンダー・ローズと親和性よろしいわねぇ。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://meanings.crystalsandjewelry.com/okenite/)

 

優しい手触りでふわふわしている空気感。ふわふわ……思い浮かべる鉱物といえば、オーケナイト(オーケン石)しかないだろう。

このケセランパセランみたいなやつがそう。ケイ酸カルシウム水和物の結晶であり、こう見えて針状ではないので触っても痛くない。rabbit tailと呼ばれるのも納得だ。

なんでこんなものが綺麗に産出されるのかというと、基本的に晶洞(ジオード)中に出来上がるからである。岩の壁に守られているのだ。かよわいのねぇよちよち可愛いねぇ。

 

 

3. スタッカート・メッセージ!

 作詞:めがねこ
 作曲:kanakanakanatch
 編曲:ふじそば
 Vocal:鈴咲のの、入夏えみりー
 Chorus:未知琉
 Piano:kanakanakanatch
 Guitar:なっさん
 Horn Arrangement & Programming:内野

 Strings Arrangement & Programming:ふじそば
 All Other Instruments & Programming & Mixing:ふじそば

 

本アルバムのデュエット枠だ。二人とも蕩けるようなキュートな声の系統ながら、僅かに輪郭のコントラストが異なる。

「MOタクコンピだから」という縛りがあるからかもしれないが、〈花咲きモーメント!/大至急、でしょっ〉からもう誰が作詞したかの当たりがつく。決定打は〈最初の青春論〉だ。硬めの漢語と横文字のバランス、そしてツボを押えた対句・押韻。めがねこさんだろ? ほらねー!

kanakanakanatchさんのピアノ曲はかねてよりtwitterで拝聴していたが、歌モノにおいても技術を発揮されている点に驚いた。〈花咲きモーメント〉のフレージングを合いの手に用いて、キュッと統一感を出している。また、Bメロ・サビのコードワークは技巧の見える部分で、目の細かい鑢をかけたように、何の違和感も覚えさせない。

オーディエンスをウキウキさせながらも、耳に突っかかりを残さずに、ノリを失わせないとは唸る仕事ぶりである。アレンジ各位もさすがだ。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://greenfloat-mineral.net/?pid=109749865)

風が花びらを舞わせる桜の季節、桃色のテューライト(桃簾石)だろうか。

ピンク色といえばロードクロサイト、ロードナイトなども挙がってくるところながら、テューライトの方がふわっとした色味の印象がある。もちろん微量元素の含有量で変わってくるところではあるが。なお、テューライトのピンクは、鉄とマンガンに由来する。

「桜石」というズバリな石もあるが、こちらは桜色というわけではなく、桜の模様が見えるというだけなので、ちょっとイメージから外れるかな。

 

 

4. 恋のラプソディ

 作詞・作曲・編曲:白川雛茶
 Vocal:けい
 Guitar:つくね
 Bass:原一生
 Programming:白川雛茶
 Mixing:みかんもどき

 

Tr.1, 2, 4とホーンが目立つ曲が前半に続くが、テンションの高さで言えばこの曲が図抜けている。パワーのあるオケに負けないような、張りのある男性ヴォーカル! これがとてもハマっていて気持ちいい。

耳を引くのは鍵盤や電子音のカウンター。気分を上げる役割をきっちり果たしている。そして上下縦横無尽に動くグルーヴィなはーらベースにも言及しないわけにはいかない。

サビ前の♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰは常套手段ではあるものの、細かい裏拍で撃ち抜いてくるため、とんでもない威力だ。体が動く。音ハメも快感。16分のシンコペを飼い馴らしており、とにかく音のキレが良い。こりゃ参りましたわ……。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://www.irocks.com/minerals/specimen/33222)

スピネル(尖晶石)だな。鮮鋭なる楽曲なので、ラテン語で「小さな棘」を意味するこの石が似合う。大理石の中に埋まり込んでいる、写真のような産状が一般的で、確かに八面体の結晶がちくちく飛び出しているように見える。

また、スピネルは8という高いモース硬度を誇るので、この点でも、がっちりした構成の本楽曲にフィットするんじゃないかな、と。

スピネルは化学構造としては酸化アルミニウムマグネシウムで、本来無色透明な結晶。しかし、クロムや鉄を含むと、美しい紅色を示す。ルビーと混同されていた時期も長い。ぜひ「レッドスピネル」で宝石を検索してみてほしい。その深い赤に、目を奪われることだろう。

 

 

5. 目抜き通りで待ち合わせ

 作詞・作曲・編曲:青茶
 Vocal:Synthesizer V 小春六花

 

うお……っ、難解……! 思わず身構えてしまったが、何回も聴いているうちに不思議と馴染んでくる。思い返すと、前作に収録されていた青茶さんの「ループバック」も、本曲ほど攻めた進行ではなかったにしろ、聴者の予想を超える展開を持った曲だった。

〈ミント〉〈クリームソーダ〉〈スパークル〉〈ガラスペン〉と、透明・清涼、といったイメージのカタカナ語を並べているのは、恐らく意識的にだと思う。音数も多くはなく、粘性は低い。主人公は胸の内に恋心を秘めているが、その実質は、この曲が表すように、澄んだ心持ちなのだろう。

アウトロの3/4+3/4+3/8拍子(私は分割するのが好きなのでこう取ったが、15/8拍子かな?)の和声が大好物っすね~!

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://www.mindat.org/min-1285.html)

ダイアスポアギリシャ語のディアスペロー「四散する」という動詞に由来するその名通り、熱するとまず水分を遊離して劈開に沿ってばらばらになる。そして、粉末を更に熱していると弾け飛ぶのだ。

硬度は意外と7ほどあり、光沢も強く、宝石としても利用されている。「ズルタナイト」の名で宝石となったものは、自然光と白熱光で色が変わって見えるカラーチェンジ現象を呈し、なかなか興味深い石だ。

透き通っていながら、劇的な展開も持ち併せる、本楽曲にぴったりではないだろうか?

 

 

6. SLING-SHOT!

 作詞・作曲・編曲・All Instruments & Nintendo 3DS:なっさん
 Vocal:Synthesizer V 小春六花

 

おおヤバいっすね……。なっさん曲、毎回「ヤバいな」って言ってる気がするわ。

スリングショットはいわゆるちゃんとしたパチンコで、カタパルトの小型バージョンのやつ。直線的弾道。甘さを捨てて、狙い撃つようなハード系四つ打ちナンバーだ。
歌詞には体言が多く、休符が意識されている印象を受ける。これは、人間と機械の中間に位置するような声質の六花ちゃんが映える映える!

こういう曲は陽が落ちた後の適度に人がいる街道を、肩をいからせて歩きながら聴きたい。近づいたら火傷するよ、みたいな。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://www.minerals.net/mineral/stibnite.aspx)

曲を聴いた瞬間、パッと思い浮かんだのは金属光沢を持つような石。特にスティブナイト(輝安鉱)だ。

輝安鉱といえば市ノ川鉱山で、大英博物館などなど世界中の博物館に大きくて良質な標本が展示されている。日本刀をイメージさせるその形状が人気だ。

しかして、その表面にはコインで傷がつけられるほど、柔らかい鉱石でもある。人間らしい柔和さを持ち合わせる六花ちゃんの声質や、後半のアコースティックなギターの音色などが、完全に外界を拒絶するような閉鎖的曲調との違いを明確にしており、スティブナイトの石質にも合致するのである。

 

 

7. フリカ

 作詞・作曲・編曲・Mix:あざらしかなで
 Vocal:ricono

 

スゥーッ(吸気)

 

ハァァァーー(呼気)

 

好きだわ……。

 

ヴォーカルのriconoさん、かなり圧のあるお声だ。誤解を恐れずに言うなら、太い。恐らくもっと歌い上げる系統の歌い方が出来る、あるいはそのポテンシャルがある方だと拝察する。
この楽曲では、あえて抑えめに発声しているように聞こえるのだが、それがドハマりしている。バックが微風のように爽やかに流れていくため、声が細いと一緒に流れていってしまい、アンビエント曲のようになってしまう。それをしっかりアンカリング、錨を下ろして、歌モノ楽曲として立脚させている

そして私、曲そのものの虜でもある。ちょっと好きな方向性過ぎて、何が良いのか言葉にしにくいな……。具体的な名前を挙げると、元々やなぎなぎさんの曲の持つ情緒が好きで、それに近いものを感じる。ストリングス7:エレクトロ3の融合感、だろうか。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://www.fabreminerals.com/search_show.php?SECTION=AFR&CODE=EH89AI8)

即決。セレスティン(天青石)

英名のcelestineは、ラテン語caelum「天空」にその源がある。淡い灰青色は清い好天を思わせる。まさに『フリカ』はこの清らかさを体現している。フリカは天が遣わした使者の名前かもしれない。きっと違う。フリカって何だ。

ちなみにセレスティンは、我が家の常に目に見えるところに飾っている、好きな石のひとつである。

主成分はストロンチウム。紅色の炎色反応を呈し、花火に用いられることでその名を轟かせる。こんなに綺麗な青なのに、燃えると赤いんですって。そういうところも好きですよ。

 

 

8. Dear My Daydream

 作詞:夢芽、NO.1P、すくろーす
 作曲・編曲:NO.1P、すくろーす
 Vocal:夢芽
 Guitar:NO.1P
 8-String Guitar:すくろーす
 Mixing:すくろーす

 

MOタクダークサイドだ……。きっと耳で拾える最低周波数辺りの音が鳴ってる。ムーーーン……って言ってるもん。

オルタナティヴ・メタルと広く捉えてもいいかもだが、ヘヴィ・メタルの色が濃くなるA'メロが最高っすね。痺れるシンコペーションを引き連れ、ギターとベースがユニゾンのパワープレイを行う。最近のジャンルでいうとジェントになるのかなぁ。

一方で2番の冒頭は新たに、”ai”でライミングする速いパッセージ。これまた切迫感があり、聴いているこちらにも力が入る。

もしかしてですけど、夢芽さん、意外とこういう激情ぶつけ系の曲の方が似合う性質だったりしない? 憑依タイプ、つまり詞世界に意識を潜り込ませるタイプの歌い手さんだと常々感じていたが、だとすればメタルは親和性が高いはずで、少なくともこの曲にはかなりフィットしている気がした。まあ、体力も精神力も使うとは思うんだけど……。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://www.fabreminerals.com/search_show.php?SECTION=RSASI&CODE=ED68F4)

悩んだ。黒だろうとは思ったが、黒い石は色々ある。黒曜石(オブシディアン、ただし準鉱物)とか閃亜鉛鉱(スファレライト)とか。

この曲の攻撃性を表すには……と考えたときに、「電気」という単語が浮かんだ。そうだ、電気石(ショール)でいこう。電気石トルマリン)という、摩擦や加熱で静電気を帯びる石の一団がある。ショールはその中でも最も多く産出されるものだ。化学式は、NaFe3Al6[(Si6O18)|(BO3)3|(OH)3OH]。Oh、目がチカチカするネ。

なお、宝石の「トルマリン」の原料となるのはほとんどがリチア電気石(エルバイト)という種類。リチウムが主成分(ざっくり言うと上の化学式のFeがLiになる)で、色とりどりの表現型を持つ。ウォーターメロン・トルマリンというスイカの断面みたいな見た目のヤツもいる。

 

 

9. Pieris

 作詞・作曲・編曲:ほたか
 Vocal&Chorus:夢芽
 All Instruments, Programming & Mix:ほたか

 

手元の学名本で引いてみると、Pierisは植物ではアセビ属、動物ではモンシロチョウ属であった。そういえば街頭でアセビを見かけたときに、Pieris japonica掲示されていたなぁ、忘れていた。さて、このタイトルはどっちのことだ? それともギリシャ神話のピーエリスか? 英語版wikipediaには他にも色々載っているがどのPierisだ……? 歌詞を見ても確定要素は無さそうだぞ……。

とやっていたら5分経ってしまった。聴き直します。

とりあえず、作詞作編曲からミキシングまでワンマン・オペレーションでこなしているのが尊敬に値することだ。MOタクコンピに寄せている作家さん方には、これらのスキルを持っている御仁が多いと存じ上げる。みんなすごい。

詞のまっすぐさに呼応するように、歌付きの伴奏箇所はかなりシンプルな楽器構成に進行だ。このシンプルさが素敵だ。すっ、と入ってくる。

一方で、前奏や後奏は作曲者のオリジナリティが色濃い。冒頭の分散和音は、不思議の国に誘うようにゆらめいている。前奏終わりではⅤ7(♭9)と軽やかだった部分も、1-2番の間奏からは……これ何だ……? ♯Ⅴに全音とトライトーン……? すみません私の耳が未熟で聴き取れない(ベースすら危うい)のですけど、とにかくチャレンジングな響きを求めている印象だ。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://mineralmarket.jp/blog/1970/01/01/%E7%8F%AA%E4%BA%9C%E9%89%9B%E9%89%B1%E3%80%80willemite-%E7%BE%A4%E9%A6%AC%E7%9C%8C%E6%B2%BC%E7%94%B0%E5%B8%82%E5%88%A9%E6%A0%B9%E7%94%BA%E5%9C%92%E5%8E%9F%E3%80%80sonohara-tone-cho-numata-city-gunm/)

普通に聴いたら"普通に"いい曲。しかし、そこに隠れる作曲者の強い選択意図あるいは矜持。

なんかそういう二面性を持った石を……と思い、はじめに思い浮かんだのはヘミモルファイト(異極鉱)だが、あれは別に隠れてないしな、と考え直す。というわけで選出したのはウィレマイト(珪亜鉛鉱)。この子は、自然光の下では何の変哲もないただの石のような見た目をしていながら、紫外線を当てるとビックリするほど強い緑色の蛍光を発する。隠れている、ってポイントを表現することができた。

ちなみに、単純な組成(Zn2SiO4)ながら、まとまって産出される場所は意外と少ない。

 

 

10. Baby, baby, I miss you.

 作詞:桜木うみ
 作曲:まくら
 編曲:Gshds.
 Vocal:Somel
 Bass:原一生
 Guitar:つくね

 

オイオイやべぇの隠し持ってたな。

まあこれは私の好みというだけかもしれないが、同じコードのサイクルを繰り返して、てくてく進んでいく曲は心を揺さぶってくるものがある。EW&FなどのR&B、ファンクが好きなのもそれが理由だ。
それは決して「単純」が好きなのではなく、「単純の中に見える繊細な変化」が好きなのだ。この曲でいうと、スキャット部分・サビ・それ以外でビート感が異なる点や、ベースが解き放たれたように動き回る点や、後半でオルガンが目立ってくる点など。これをハイセンスと言わずして何と言おう。センス枠。本アルバムのセンス枠です!(大声)

ここまで書いて、ROUND TABLE featuring Ninoの『Let Me Be With You』を思い出した。テクテク曲の白眉で、なまおじさんもかつてブログで「シンプルな進行の良曲」として紹介していた。本曲の歌詞に〈I don't want to let you go.〉という、呼応するような表現があったからかもしれない。

note.com

Somelさんのウィスパー気味の声もヒーリング効果抜群だ。気分が乗らないときも楽しいときも、どんなシチュエーションにも合う洗練されたナンバーである。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(http://geode80.blog.fc2.com/blog-category-100.html)

 

ジルコン(風信子石)でどうでしょう。

44億年前のジルコンが発見されたことで、「世界最古の鉱物」という二つ名を手にした強キャラ。宝石としてもカラフルな色味と複屈折性による輝きで人気だが、5世紀ごろに魔除けとして使われていた記録も残っているとか。

古くから普遍的に愛されている点が、この曲の一昔前のビート感やアクの無さとリンクする。

 

 

11. ある休みのまえじつ

 作詞・作曲・編曲:ざき☆すたりヴぁ
 Vocal:留年スレスレ限界大学生

 

なんて世俗的なんだ

しかしMOタクコンピはこういうクスッと来る曲もあった方が良い。一人のクリエイターが全曲を手掛けるアルバムだと、曲調を変えて聴き手の心情コントロールが出来るが、コンピレーションだと全員が渾身の159km/hストレートを投げ込んでくる。ならば113km/hカーブもあった方が良い。

トライアングル、ウィンドチャイム、ヴィブラスラップなど、所々に顔を覗かせる小物楽器が、日常のスナップショットを想起させて良い使われ方をしている。

ところで、最初に聴いたとき、エンディングの台詞がミクのイントネーションと呼吸に非常に似ていて、「あれっ嘘これ最初から合成音声!?」と勘違いしてしまったのは内緒だ。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://cool-hira.hatenablog.com/entry/2021/09/05/060144)

下に置いた文字が、石の表面に浮き出て見えるという面白い性質を持つ、ウレキサイト(ウレックス石)。またの名をテレビ石。曲のユニークさが、この石を連想させた。

その理由は、繊維状結晶が平行に集まった中を光が通過することによる、「グラスファイバー効果」だ。非常に興味をそそる性質で、一度見たら忘れない石だと思うのだが、いかんせん綺麗に輝く石の方に人々の視線は集まってしまう。こういうウレキサイトみたいな存在も大事だよ、ってね。

 

 

12. IN MY DREAM

 作詞:はらすん
 作曲:つくね
 編曲:たっち、つくね
 Vocal:あかつき姉
 Bass:原一生
 Guitar:つくね
 MIX&Other Instruments:たっち

 

あかつき姉さんがまたお肉の歌を歌っている……。しかしまあ、さすがの声の幅、表現力だ。歌詞カードに書いてある〈↑〉や〈☆〉の記号を全て声で拾い上げておられるな。

曲調はある意味エンディングテーマ的、真っ直ぐなポップスロックに仕上がっている。サビメロが秀逸。一度目はファルセットで、二度目はチェスト……というか地声で出す高音が、テンションも一緒に引き上げてくれる感じがする。転調前の半音階も素晴らしいな。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E7%9F%B3)

太陽をイメージさせる、明るさと勢い。ここは捻らずにサンストーン(日長石)だ! ヘリオライトとも言うぞ! もちろんギリシャ語のヘーリオス「太陽」に由来。

長石は地球上に広く分布する鉱物グループで、まず、アルカリ長石と斜長石に大別される。
斜長石のうち、ナトリウムを主成分にするものを曹長石、カルシウムを主成分にするものを灰長石というが、ナトリウムとカルシウムの配合割合にはグラデーションがあって、はっきりと分けられない場合も多い。この曹灰長石系統の石のうち、特に、微小な銅の結晶が平行に層をなし紅色に色づくものを、「日長石」と呼ぶのである。

サンストーンといえば何と言っても煌びやかなアベンチュレッセンス。包有された微細結晶が光を反射し、輝きを見せる光学効果のことだ。んー、眩しい!

 


 

はい。鉱物雑学講義みたいな記事になってしまいました。

vol.5は何に喩えようか、今からネタを考えておいた方が良いな。軽く勉強しておかないといけないし。

 

次回作までにネタが出せるのか!

そしてイルリキウムがアルバムに関与することはあるのか!

乞うご期待!

 

 * * *

【参考文献】

飯田孝一『ずかん 宝石』技術評論社 (2012)
川端清司『岩石・鉱物図鑑』池田書店 (2021)
さとうかよこ『世界一楽しい 遊べる鉱物図鑑』東京書店 (2016)
諏訪恭一『価値がわかる 宝石図鑑』ナツメ社 (2016)
堀秀道著、門馬綱一監修『愛蔵版 楽しい鉱物図鑑』草思社 (2019)
宮脇律郎『ときめく鉱物図鑑』山と渓谷社 (2012)
矢作ちはる『石の図鑑』雷鳥社 (2019)

二ノ宮知子『七つ屋 志のぶの宝石匣』シリーズ、講談社 (2014-)