論理の感情武装

PDFに短し、画像ツイートに長し

「Why don't you eat MONACA? Vol.4」感想&鉱物にたとえてみるのコーナー

 

イルリキウムです。

 

そういえばこの前地元の本屋さんに行ったとき、小中で同級生だった友達のお姉ちゃんに似ている人がレジに立っててですね。当該お姉ちゃん、確か私が中学生だった頃に、その本屋でバイトをしていたんすよ。でもそれってもう13, 4年前だしさすがに……と思って名札を見ると、やっぱりその友達と同じ苗字が記されてるんですよね。髪型も苗字も、なんなら目元とかもずっと変わってない。もう8割くらいそのお姉ちゃんで間違いない、けどなぁ、と、思ってるうちに、会計終わっちゃって。で、実家に帰って母親に訊いてみたら、「〇〇ちゃんあの本屋さんに就職したみたいだよ」って言うんです。あ~やっぱり合ってたかぁ! って

 

 

 

 

 

 

お待ちかねのMOタクコンピvol.4がリリースされた。

 

冒頭のクソエピソードトークは何?

 

今年は当直が重なりM3春にお邪魔できなかったため、いじけた私はクロスフェードを聴いておらず、「どうせ私は聴くしか能がないくせに楽曲ブログも去年の12月以来あげてないですよーだ」と美少女ロリにしか許されない拗らせを発揮していたのだが、M3の翌日には通販で注文していた。許せまくらよ……。

 

 

さて、これまで私が公開したMOタクコンピ感想記事を振り返ってみる。

 

i-verum43.hatenablog.com

i-verum43.hatenablog.com

 

ぶっちゃけどう?

自分の曲が「聴診器」とか「肝臓」とか「バルフォア開創器」とか「マイスネル小体」とかに喩えられて嬉しい??

 

ってなわけで、今回は喩えられたらきっと嬉しいジャンルであろう、鉱物を取り上げてみた。カラフルだしキラキラしてるし、これで喜ばない人はいない(打算)。なんで最初を医療器具とかにしてしまったんだ(後悔)。まいっか(楽観主義)。

 


1. FULL CAST

 作詞:カシラテ
 作曲・編曲:内野
 Vocal:夢芽
 Bass:カシラテ
 Guitar:なっさん
 Piano&Organ:λ
 Mixing&Engineer:上田尚史

 

ブラスセクションが前景に立った、快闊なビッグバンドサウンド。ネオン煌めくストリートを、我が世とばかりにターンする、そんなミュージカル主人公の姿が目に浮かんでくるようだ。

「レッスン」「オーディション」「パレード」なんてワードが聞こえてきたので、曲調と併せるとふーむこれはもしかして……、と思っていたところに、特徴的な間奏がやってきた。もう間違いない。伝説の開幕SHIFTを思い起こさせる。

歌詞カードに目を遣ると、他にもいくつかのキーワードを拾うことが出来た。愛だね。

ピアノからギターのソロ回しが素敵。熱っぽいブラスに中てられることなく、ちょっと甘い雰囲気を湛えている。強のブラスに対して、強のソロをぶつけてしまうと曲全体が暑苦しくなってしまうが、見事にそれを回避している。音色の選択、ミキシングも、この柔らかい雰囲気に寄与していそうだ。

 

Bメロでようやくヴォーカリストが夢芽さんだと特定できた。逆に言えば、いわゆるアヴァン(イントロ前)の台詞では確信が持てなかったわけだ。
〈ライ"ブ"へようこそ〉の箇所で、母音の/u/が流れて聞こえるのはむしろナイスで、〈It's show time!〉へ向けて入り込んでいることの証左。音符の無い部分にあって、こうしてリズミカルに言葉を紡げるのは、swingする曲調へのパイロットとして格好の存在といえる。仮にこれを計算ではなく感覚でやっているとしたら凄い……。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(http://annfell.angelhigh-law.com/?cid=79)

これはタイタナイト(チタン石)

最初から石ではなく宝石としてのイメージから選出してしまった。宝石としてはスフェン(楔石)とも呼ばれ、こちらの名前の方が有名かもしれない。

宝飾品としてカットされたスフェンの特長は、その屈折率の高さ、複屈折性の強さ。光が入った際に、緑系だけではなく、赤や黄色などの豊かな色彩で、激しい七色の輝きを放つ。「ファイア」と呼ばれるこの性質が、ダイヤモンドよりも強いといわれるのがスフェンなのだ。

本曲を特徴づける金管隊の絢爛さ、そしてここから始まる12曲への期待感は、まさしくスフェンのファイアさながらである。

 

 

2. フレンチキネマはセピア色

 作詞:桜木うみ
 作曲・編曲:Happiya
 Vocal, Chorus:nade.
 Electric Guitar, Acoustic Guitar:なっさん
 Fender Rhodes, Synth-Programming, Mixing:Happiya

 

ん~~いいですね。なでちゃんはAメロ辺りの音域で気だるげに歌ってくれるのが似合うね。丸椅子に座って足組んで、床の方を見ながら歌っててほしい。

はぴや氏はキルフェボン好きで、カフェに似合う曲を書いたとのこと。キルフェボン美味しいよね。なんでうちの県に無いのかな。ラ・メゾンに行くからいいんだけどキルフェボンあってほしいよね。なんで? ねえなんで??
それはともかく。日常に溶け込んで会話を邪魔しないメロウな雰囲気に仕上がっている一曲。これは「至高のオーガニックミュージック」……と思っていたら、急に7拍子になった。漏れてる漏れてる、フュージョンの血が。とはいえ、ばっちゃんばっちゃんシンバルを叩く感じではなく、控えめになるように考慮されていた。

 

フェンダー・ローズかぁ。アコギとの絡み合いは非常にセクシィ。こう聴くと、なでちゃんの声、フェンダー・ローズと親和性よろしいわねぇ。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://meanings.crystalsandjewelry.com/okenite/)

 

優しい手触りでふわふわしている空気感。ふわふわ……思い浮かべる鉱物といえば、オーケナイト(オーケン石)しかないだろう。

このケセランパセランみたいなやつがそう。ケイ酸カルシウム水和物の結晶であり、こう見えて針状ではないので触っても痛くない。rabbit tailと呼ばれるのも納得だ。

なんでこんなものが綺麗に産出されるのかというと、基本的に晶洞(ジオード)中に出来上がるからである。岩の壁に守られているのだ。かよわいのねぇよちよち可愛いねぇ。

 

 

3. スタッカート・メッセージ!

 作詞:めがねこ
 作曲:kanakanakanatch
 編曲:ふじそば
 Vocal:鈴咲のの、入夏えみりー
 Chorus:未知琉
 Piano:kanakanakanatch
 Guitar:なっさん
 Horn Arrangement & Programming:内野

 Strings Arrangement & Programming:ふじそば
 All Other Instruments & Programming & Mixing:ふじそば

 

本アルバムのデュエット枠だ。二人とも蕩けるようなキュートな声の系統ながら、僅かに輪郭のコントラストが異なる。

「MOタクコンピだから」という縛りがあるからかもしれないが、〈花咲きモーメント!/大至急、でしょっ〉からもう誰が作詞したかの当たりがつく。決定打は〈最初の青春論〉だ。硬めの漢語と横文字のバランス、そしてツボを押えた対句・押韻。めがねこさんだろ? ほらねー!

kanakanakanatchさんのピアノ曲はかねてよりtwitterで拝聴していたが、歌モノにおいても技術を発揮されている点に驚いた。〈花咲きモーメント〉のフレージングを合いの手に用いて、キュッと統一感を出している。また、Bメロ・サビのコードワークは技巧の見える部分で、目の細かい鑢をかけたように、何の違和感も覚えさせない。

オーディエンスをウキウキさせながらも、耳に突っかかりを残さずに、ノリを失わせないとは唸る仕事ぶりである。アレンジ各位もさすがだ。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://greenfloat-mineral.net/?pid=109749865)

風が花びらを舞わせる桜の季節、桃色のテューライト(桃簾石)だろうか。

ピンク色といえばロードクロサイト、ロードナイトなども挙がってくるところながら、テューライトの方がふわっとした色味の印象がある。もちろん微量元素の含有量で変わってくるところではあるが。なお、テューライトのピンクは、鉄とマンガンに由来する。

「桜石」というズバリな石もあるが、こちらは桜色というわけではなく、桜の模様が見えるというだけなので、ちょっとイメージから外れるかな。

 

 

4. 恋のラプソディ

 作詞・作曲・編曲:白川雛茶
 Vocal:けい
 Guitar:つくね
 Bass:原一生
 Programming:白川雛茶
 Mixing:みかんもどき

 

Tr.1, 2, 4とホーンが目立つ曲が前半に続くが、テンションの高さで言えばこの曲が図抜けている。パワーのあるオケに負けないような、張りのある男性ヴォーカル! これがとてもハマっていて気持ちいい。

耳を引くのは鍵盤や電子音のカウンター。気分を上げる役割をきっちり果たしている。そして上下縦横無尽に動くグルーヴィなはーらベースにも言及しないわけにはいかない。

サビ前の♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰは常套手段ではあるものの、細かい裏拍で撃ち抜いてくるため、とんでもない威力だ。体が動く。音ハメも快感。16分のシンコペを飼い馴らしており、とにかく音のキレが良い。こりゃ参りましたわ……。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://www.irocks.com/minerals/specimen/33222)

スピネル(尖晶石)だな。鮮鋭なる楽曲なので、ラテン語で「小さな棘」を意味するこの石が似合う。大理石の中に埋まり込んでいる、写真のような産状が一般的で、確かに八面体の結晶がちくちく飛び出しているように見える。

また、スピネルは8という高いモース硬度を誇るので、この点でも、がっちりした構成の本楽曲にフィットするんじゃないかな、と。

スピネルは化学構造としては酸化アルミニウムマグネシウムで、本来無色透明な結晶。しかし、クロムや鉄を含むと、美しい紅色を示す。ルビーと混同されていた時期も長い。ぜひ「レッドスピネル」で宝石を検索してみてほしい。その深い赤に、目を奪われることだろう。

 

 

5. 目抜き通りで待ち合わせ

 作詞・作曲・編曲:青茶
 Vocal:Synthesizer V 小春六花

 

うお……っ、難解……! 思わず身構えてしまったが、何回も聴いているうちに不思議と馴染んでくる。思い返すと、前作に収録されていた青茶さんの「ループバック」も、本曲ほど攻めた進行ではなかったにしろ、聴者の予想を超える展開を持った曲だった。

〈ミント〉〈クリームソーダ〉〈スパークル〉〈ガラスペン〉と、透明・清涼、といったイメージのカタカナ語を並べているのは、恐らく意識的にだと思う。音数も多くはなく、粘性は低い。主人公は胸の内に恋心を秘めているが、その実質は、この曲が表すように、澄んだ心持ちなのだろう。

アウトロの3/4+3/4+3/8拍子(私は分割するのが好きなのでこう取ったが、15/8拍子かな?)の和声が大好物っすね~!

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://www.mindat.org/min-1285.html)

ダイアスポアギリシャ語のディアスペロー「四散する」という動詞に由来するその名通り、熱するとまず水分を遊離して劈開に沿ってばらばらになる。そして、粉末を更に熱していると弾け飛ぶのだ。

硬度は意外と7ほどあり、光沢も強く、宝石としても利用されている。「ズルタナイト」の名で宝石となったものは、自然光と白熱光で色が変わって見えるカラーチェンジ現象を呈し、なかなか興味深い石だ。

透き通っていながら、劇的な展開も持ち併せる、本楽曲にぴったりではないだろうか?

 

 

6. SLING-SHOT!

 作詞・作曲・編曲・All Instruments & Nintendo 3DS:なっさん
 Vocal:Synthesizer V 小春六花

 

おおヤバいっすね……。なっさん曲、毎回「ヤバいな」って言ってる気がするわ。

スリングショットはいわゆるちゃんとしたパチンコで、カタパルトの小型バージョンのやつ。直線的弾道。甘さを捨てて、狙い撃つようなハード系四つ打ちナンバーだ。
歌詞には体言が多く、休符が意識されている印象を受ける。これは、人間と機械の中間に位置するような声質の六花ちゃんが映える映える!

こういう曲は陽が落ちた後の適度に人がいる街道を、肩をいからせて歩きながら聴きたい。近づいたら火傷するよ、みたいな。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://www.minerals.net/mineral/stibnite.aspx)

曲を聴いた瞬間、パッと思い浮かんだのは金属光沢を持つような石。特にスティブナイト(輝安鉱)だ。

輝安鉱といえば市ノ川鉱山で、大英博物館などなど世界中の博物館に大きくて良質な標本が展示されている。日本刀をイメージさせるその形状が人気だ。

しかして、その表面にはコインで傷がつけられるほど、柔らかい鉱石でもある。人間らしい柔和さを持ち合わせる六花ちゃんの声質や、後半のアコースティックなギターの音色などが、完全に外界を拒絶するような閉鎖的曲調との違いを明確にしており、スティブナイトの石質にも合致するのである。

 

 

7. フリカ

 作詞・作曲・編曲・Mix:あざらしかなで
 Vocal:ricono

 

スゥーッ(吸気)

 

ハァァァーー(呼気)

 

好きだわ……。

 

ヴォーカルのriconoさん、かなり圧のあるお声だ。誤解を恐れずに言うなら、太い。恐らくもっと歌い上げる系統の歌い方が出来る、あるいはそのポテンシャルがある方だと拝察する。
この楽曲では、あえて抑えめに発声しているように聞こえるのだが、それがドハマりしている。バックが微風のように爽やかに流れていくため、声が細いと一緒に流れていってしまい、アンビエント曲のようになってしまう。それをしっかりアンカリング、錨を下ろして、歌モノ楽曲として立脚させている

そして私、曲そのものの虜でもある。ちょっと好きな方向性過ぎて、何が良いのか言葉にしにくいな……。具体的な名前を挙げると、元々やなぎなぎさんの曲の持つ情緒が好きで、それに近いものを感じる。ストリングス7:エレクトロ3の融合感、だろうか。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://www.fabreminerals.com/search_show.php?SECTION=AFR&CODE=EH89AI8)

即決。セレスティン(天青石)

英名のcelestineは、ラテン語caelum「天空」にその源がある。淡い灰青色は清い好天を思わせる。まさに『フリカ』はこの清らかさを体現している。フリカは天が遣わした使者の名前かもしれない。きっと違う。フリカって何だ。

ちなみにセレスティンは、我が家の常に目に見えるところに飾っている、好きな石のひとつである。

主成分はストロンチウム。紅色の炎色反応を呈し、花火に用いられることでその名を轟かせる。こんなに綺麗な青なのに、燃えると赤いんですって。そういうところも好きですよ。

 

 

8. Dear My Daydream

 作詞:夢芽、NO.1P、すくろーす
 作曲・編曲:NO.1P、すくろーす
 Vocal:夢芽
 Guitar:NO.1P
 8-String Guitar:すくろーす
 Mixing:すくろーす

 

MOタクダークサイドだ……。きっと耳で拾える最低周波数辺りの音が鳴ってる。ムーーーン……って言ってるもん。

オルタナティヴ・メタルと広く捉えてもいいかもだが、ヘヴィ・メタルの色が濃くなるA'メロが最高っすね。痺れるシンコペーションを引き連れ、ギターとベースがユニゾンのパワープレイを行う。最近のジャンルでいうとジェントになるのかなぁ。

一方で2番の冒頭は新たに、”ai”でライミングする速いパッセージ。これまた切迫感があり、聴いているこちらにも力が入る。

もしかしてですけど、夢芽さん、意外とこういう激情ぶつけ系の曲の方が似合う性質だったりしない? 憑依タイプ、つまり詞世界に意識を潜り込ませるタイプの歌い手さんだと常々感じていたが、だとすればメタルは親和性が高いはずで、少なくともこの曲にはかなりフィットしている気がした。まあ、体力も精神力も使うとは思うんだけど……。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://www.fabreminerals.com/search_show.php?SECTION=RSASI&CODE=ED68F4)

悩んだ。黒だろうとは思ったが、黒い石は色々ある。黒曜石(オブシディアン、ただし準鉱物)とか閃亜鉛鉱(スファレライト)とか。

この曲の攻撃性を表すには……と考えたときに、「電気」という単語が浮かんだ。そうだ、電気石(ショール)でいこう。電気石トルマリン)という、摩擦や加熱で静電気を帯びる石の一団がある。ショールはその中でも最も多く産出されるものだ。化学式は、NaFe3Al6[(Si6O18)|(BO3)3|(OH)3OH]。Oh、目がチカチカするネ。

なお、宝石の「トルマリン」の原料となるのはほとんどがリチア電気石(エルバイト)という種類。リチウムが主成分(ざっくり言うと上の化学式のFeがLiになる)で、色とりどりの表現型を持つ。ウォーターメロン・トルマリンというスイカの断面みたいな見た目のヤツもいる。

 

 

9. Pieris

 作詞・作曲・編曲:ほたか
 Vocal&Chorus:夢芽
 All Instruments, Programming & Mix:ほたか

 

手元の学名本で引いてみると、Pierisは植物ではアセビ属、動物ではモンシロチョウ属であった。そういえば街頭でアセビを見かけたときに、Pieris japonica掲示されていたなぁ、忘れていた。さて、このタイトルはどっちのことだ? それともギリシャ神話のピーエリスか? 英語版wikipediaには他にも色々載っているがどのPierisだ……? 歌詞を見ても確定要素は無さそうだぞ……。

とやっていたら5分経ってしまった。聴き直します。

とりあえず、作詞作編曲からミキシングまでワンマン・オペレーションでこなしているのが尊敬に値することだ。MOタクコンピに寄せている作家さん方には、これらのスキルを持っている御仁が多いと存じ上げる。みんなすごい。

詞のまっすぐさに呼応するように、歌付きの伴奏箇所はかなりシンプルな楽器構成に進行だ。このシンプルさが素敵だ。すっ、と入ってくる。

一方で、前奏や後奏は作曲者のオリジナリティが色濃い。冒頭の分散和音は、不思議の国に誘うようにゆらめいている。前奏終わりではⅤ7(♭9)と軽やかだった部分も、1-2番の間奏からは……これ何だ……? ♯Ⅴに全音とトライトーン……? すみません私の耳が未熟で聴き取れない(ベースすら危うい)のですけど、とにかくチャレンジングな響きを求めている印象だ。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://mineralmarket.jp/blog/1970/01/01/%E7%8F%AA%E4%BA%9C%E9%89%9B%E9%89%B1%E3%80%80willemite-%E7%BE%A4%E9%A6%AC%E7%9C%8C%E6%B2%BC%E7%94%B0%E5%B8%82%E5%88%A9%E6%A0%B9%E7%94%BA%E5%9C%92%E5%8E%9F%E3%80%80sonohara-tone-cho-numata-city-gunm/)

普通に聴いたら"普通に"いい曲。しかし、そこに隠れる作曲者の強い選択意図あるいは矜持。

なんかそういう二面性を持った石を……と思い、はじめに思い浮かんだのはヘミモルファイト(異極鉱)だが、あれは別に隠れてないしな、と考え直す。というわけで選出したのはウィレマイト(珪亜鉛鉱)。この子は、自然光の下では何の変哲もないただの石のような見た目をしていながら、紫外線を当てるとビックリするほど強い緑色の蛍光を発する。隠れている、ってポイントを表現することができた。

ちなみに、単純な組成(Zn2SiO4)ながら、まとまって産出される場所は意外と少ない。

 

 

10. Baby, baby, I miss you.

 作詞:桜木うみ
 作曲:まくら
 編曲:Gshds.
 Vocal:Somel
 Bass:原一生
 Guitar:つくね

 

オイオイやべぇの隠し持ってたな。

まあこれは私の好みというだけかもしれないが、同じコードのサイクルを繰り返して、てくてく進んでいく曲は心を揺さぶってくるものがある。EW&FなどのR&B、ファンクが好きなのもそれが理由だ。
それは決して「単純」が好きなのではなく、「単純の中に見える繊細な変化」が好きなのだ。この曲でいうと、スキャット部分・サビ・それ以外でビート感が異なる点や、ベースが解き放たれたように動き回る点や、後半でオルガンが目立ってくる点など。これをハイセンスと言わずして何と言おう。センス枠。本アルバムのセンス枠です!(大声)

ここまで書いて、ROUND TABLE featuring Ninoの『Let Me Be With You』を思い出した。テクテク曲の白眉で、なまおじさんもかつてブログで「シンプルな進行の良曲」として紹介していた。本曲の歌詞に〈I don't want to let you go.〉という、呼応するような表現があったからかもしれない。

note.com

Somelさんのウィスパー気味の声もヒーリング効果抜群だ。気分が乗らないときも楽しいときも、どんなシチュエーションにも合う洗練されたナンバーである。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(http://geode80.blog.fc2.com/blog-category-100.html)

 

ジルコン(風信子石)でどうでしょう。

44億年前のジルコンが発見されたことで、「世界最古の鉱物」という二つ名を手にした強キャラ。宝石としてもカラフルな色味と複屈折性による輝きで人気だが、5世紀ごろに魔除けとして使われていた記録も残っているとか。

古くから普遍的に愛されている点が、この曲の一昔前のビート感やアクの無さとリンクする。

 

 

11. ある休みのまえじつ

 作詞・作曲・編曲:ざき☆すたりヴぁ
 Vocal:留年スレスレ限界大学生

 

なんて世俗的なんだ

しかしMOタクコンピはこういうクスッと来る曲もあった方が良い。一人のクリエイターが全曲を手掛けるアルバムだと、曲調を変えて聴き手の心情コントロールが出来るが、コンピレーションだと全員が渾身の159km/hストレートを投げ込んでくる。ならば113km/hカーブもあった方が良い。

トライアングル、ウィンドチャイム、ヴィブラスラップなど、所々に顔を覗かせる小物楽器が、日常のスナップショットを想起させて良い使われ方をしている。

ところで、最初に聴いたとき、エンディングの台詞がミクのイントネーションと呼吸に非常に似ていて、「あれっ嘘これ最初から合成音声!?」と勘違いしてしまったのは内緒だ。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://cool-hira.hatenablog.com/entry/2021/09/05/060144)

下に置いた文字が、石の表面に浮き出て見えるという面白い性質を持つ、ウレキサイト(ウレックス石)。またの名をテレビ石。曲のユニークさが、この石を連想させた。

その理由は、繊維状結晶が平行に集まった中を光が通過することによる、「グラスファイバー効果」だ。非常に興味をそそる性質で、一度見たら忘れない石だと思うのだが、いかんせん綺麗に輝く石の方に人々の視線は集まってしまう。こういうウレキサイトみたいな存在も大事だよ、ってね。

 

 

12. IN MY DREAM

 作詞:はらすん
 作曲:つくね
 編曲:たっち、つくね
 Vocal:あかつき姉
 Bass:原一生
 Guitar:つくね
 MIX&Other Instruments:たっち

 

あかつき姉さんがまたお肉の歌を歌っている……。しかしまあ、さすがの声の幅、表現力だ。歌詞カードに書いてある〈↑〉や〈☆〉の記号を全て声で拾い上げておられるな。

曲調はある意味エンディングテーマ的、真っ直ぐなポップスロックに仕上がっている。サビメロが秀逸。一度目はファルセットで、二度目はチェスト……というか地声で出す高音が、テンションも一緒に引き上げてくれる感じがする。転調前の半音階も素晴らしいな。

 

◇◆鉱物でたとえるなら◆◇

(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E7%9F%B3)

太陽をイメージさせる、明るさと勢い。ここは捻らずにサンストーン(日長石)だ! ヘリオライトとも言うぞ! もちろんギリシャ語のヘーリオス「太陽」に由来。

長石は地球上に広く分布する鉱物グループで、まず、アルカリ長石と斜長石に大別される。
斜長石のうち、ナトリウムを主成分にするものを曹長石、カルシウムを主成分にするものを灰長石というが、ナトリウムとカルシウムの配合割合にはグラデーションがあって、はっきりと分けられない場合も多い。この曹灰長石系統の石のうち、特に、微小な銅の結晶が平行に層をなし紅色に色づくものを、「日長石」と呼ぶのである。

サンストーンといえば何と言っても煌びやかなアベンチュレッセンス。包有された微細結晶が光を反射し、輝きを見せる光学効果のことだ。んー、眩しい!

 


 

はい。鉱物雑学講義みたいな記事になってしまいました。

vol.5は何に喩えようか、今からネタを考えておいた方が良いな。軽く勉強しておかないといけないし。

 

次回作までにネタが出せるのか!

そしてイルリキウムがアルバムに関与することはあるのか!

乞うご期待!

 

 * * *

【参考文献】

飯田孝一『ずかん 宝石』技術評論社 (2012)
川端清司『岩石・鉱物図鑑』池田書店 (2021)
さとうかよこ『世界一楽しい 遊べる鉱物図鑑』東京書店 (2016)
諏訪恭一『価値がわかる 宝石図鑑』ナツメ社 (2016)
堀秀道著、門馬綱一監修『愛蔵版 楽しい鉱物図鑑』草思社 (2019)
宮脇律郎『ときめく鉱物図鑑』山と渓谷社 (2012)
矢作ちはる『石の図鑑』雷鳥社 (2019)

二ノ宮知子『七つ屋 志のぶの宝石匣』シリーズ、講談社 (2014-)