論理の感情武装

PDFに短し、画像ツイートに長し

Melty Girls Creameryのアイスたちを語りたいだけ

感想語り
イルリキウムです。
 

今日もどこかでデビルマン……、ではなく。

今日もどこかで神イベが開かれている。

いわゆる「神イベ」とは、「『存在してくれてありがとう』と思わず神に感謝するイベント」の略である。
きっと今日も、私の観測範囲の外にあるだけで、私にとっての「神イベ」はこの世界のどこかで行われているに違いない。
 
記憶媒体に残され、いつでもアクセス可能になるイベントなんてほんの一握りだから、過ぎ去ってしまったイベントを体験するにはデンライナーに乗ってアカシック・レコードにアクセスするくらいしか方法はない。
 
そして、仮に佐藤健や石丸謙二郎と共にお目当てのイベントに降り立つことが出来たとして、だ。
果たして参加したいイベントは、人生1度で網羅できるほどの数に収まっているだろうか？
 
好きな事物が多いことは、精神的支柱の多さに直結するが、それは逆に機会喪失の可能性が多いことにもなる。
 
ゆく河の流れは絶えないし、淀みに浮かぶ泡沫は久しく留まらないのだ。
 
　◆◇◆
 
先日、"Melty Girls Creamery"というプロジェクトに少しばかりの支援をさせてもらった。
「舞台女優さんをモデルに、アイスをモチーフにした可愛い写真集を作る」ことを目玉に行われた彼女たちの初企画は、60万円の目標額に対して230万円を集めるトライアムフを叩き出した。
 
小さな頃、バスキン・ロビンスのガラスケースにへばりついてはお店のお姉さんに対して言外にテイストスプーンをねだっていた程度には、アイスクリーム好き。
（余談だが、サーティーワンアイスのことを「バスキン・ロビンス」と呼んでいると「サーティーワンと呼べ」と友人から鉄槌が下る。合っているのだから好きに呼ばせてほしい）
 
もちろん冷凍庫の中には、チョコミントを必ず含むように常に数種類のアイスを常備。
（先日の台風の際は困った。停電を予期して一気にいくつか食べたが結局停電には至らなかった。どっとはらい）
 
そんな私にとって、写真集（＋返礼品の中にあるメイキング映像DVD）といういつでもアクセス可能な形で、アイスたちに扮した女優さんたちを楽しめるのは悪い話ではない。
 
ややあって。
どれほどのものか……、と期待半分、不安半分で、届いた写真集を捲る。
 
ぶわああああああっ。
 
期待も不安も全て吹っ飛ばされた。改良藤田スケールで4相当。
そこに残ったのは、「MGCprojectありがとう、神様ありがとう」という感謝の念だけである。
 
50人程度の小さな箱で行われたトークイベントも、凄まじく満足度の高いものだった。
私はこの日、どうしてもの急用が出来てしまい、トーク途中で退席しなくてはならなかったのだが、そういう時に限って最前列のセンターという席を引き当ててしまい、演者さんにぽっかり目の前が空席になるという空虚な思いをさせてしまった。すみませんでした。
 
とはいえ、短い時間でも、目の前で可愛いの洗礼を浴びられたこと。ああいった場に、臨場できた奇跡を噛みしめる。
これぞ神イベ。
噛みしめるイベントだから「かみイベ」なのかもしれない（違う）。

ここからは、12名12フレーバーそれぞれに一言コメントを寄せる。
 
……が、その前に。
少し話は逸れるが、私はいい年ぶっこいたおじさんの絵文字やら照れ隠しやら誤魔化しやら変なタイミングでのカタカナやら「なんちゃって」「～たりしてwww」といった言い回しやらが嫌いである。
いわゆる「おっさん風LINE」、アレそのもののことである。
虫唾が走る。尋常小に戻って日本語を学んでこい。
 
しかし、斯く言う私も、一の位で四捨五入すれば30歳。五捨六入すれば20歳。
迂闊に女の子たちの写真集を相手取り「かわいい～」などとレビューしようものなら、無事で済むはずがない。
好きな音楽紹介とは訳が違うのだ。
Gaug/F相手に「かわいい～」とコメントするのとは異なるのだ。
 
それでなくても昨今はハラスメントの時代。
私の性格や思考回路がいくら女の子っぽいといっても、インターネットでそれはわからない。
そうだ、そもそも「女の子っぽい」という言葉自体受け入れられにくいのだ。これは私の表現が悪かった。

というわけで、言葉遣いには重々注意していきたい。

もちろん、これはフリだ。

また、写真集を買っていない方にとっては何のことやらという話だが、単なる私の備忘録ということでご寛恕願いたい。
公式Twitterに紹介が上がっているので同時に掲載しておこうと思う。
 
☆Jan. 水崎綾／Noble Vanilla

かっわ……！（昏倒）

 
ほとんどの波長の可視光線が乱反射されるから我々は「白」を知覚するわけだが、意識は反対に、すうっと彼女の方へ吸い込まれていくよう。
やがて境界がぼやけ、徐ろに、優しく溶けゆく。
これぞメルティ。そうかMGCってそういうことだったんだな。納得。
 
微笑みを湛えるバニラは、しかしそれ以外の表情を人に見せることは少ない。
常人を寄せ付けない鋭さや、芯の強さが垣間見える。立場のみならず、その自律心からもnoblenessを感じることができる。
だからこそ、時折溢れる切なげな顔つきや、アイスにかぶりつく幸せそうな姿に、目を奪われてしまう。
 
水崎さんの縦にすっと伸びた鼻筋と薄めの唇が、清澄さを醸し出している。
そして、生気を失わない程度に程よく色づいた肌色、リップ。これらの色遣いが精緻に計算されており、幕開けを飾るのに相応しい。
MGCを包む世界観の水崎案内人。全然上手くない。
 
ノーブルバニラ、飾り物を必要としない絶対王者だ。
 
わーわーとカラフルなチョコスプレーを親の仇だどうだこれでもかとばかりに振り掛けたり（美味しい）、マシュマロやクッキーや果てはタピオカまでもを同居させようとしたり（美味しい）、もはやスタバの店員さんを困らせようとする呪文オーダーなのかと思うほどの全部のせアイスも、世の中には確かに存在する。
 
載せれば載せただけ価値が上がるのか。魅力とは和の法則なのか。
 
違う。
 
断じて違う。
 
ミスタードーナツを救うべく立ち上がったドーナツメンヘラ共和国建国の父である彼もこう言っていた。
「シンプルこそが最も強く、ブレない軸を持つ」（ハニーディップについて）
 
もし自分が全身にデコデコと装飾を纏いすぎていると思うならば、今すぐに全て脱ぎ捨てた方が良い。
 
目指すべきは高貴なる白。
 
ちらし寿司ではなく縁側の握りである。……すいませんこれは私の趣味です。
 

★Feb. 山本真夢／Gothic Chocolate

やっば。
 
これはやばい。見てはいけないものを見てしまった。小学校の頃に下校時刻間際になってから宿題の問題集を机に忘れたことを思い出して教室に急いで戻ったのになぜか普段は気にならないような部屋の前で立ち止まってふと目を遣るとその一室が普段は鍵のかかっている物置なのに今日だけドアに僅かな隙間があると気づいてしまって恐る恐るドアを開けると誰が作ったのかも分からない金紙貼りの巨大なオブジェや何がしまい込まれているのか全く想像もつかない数十のファイルなどが所狭しと収められていて早く出ないといけないのに何らかの魔力でそこに留まりたくなっていやむしろ留まらなくてはいけないという錯覚に陥ってしまう、
 
彼女にはそんな引力が確実にある。
 
そういえば、国際プロジェクトのイベント・ホライズン・テレスコープがこの前撮影に成功したブラックホールって、実は彼女のことだったんじゃない？
 
ゴシックアンドロリィタファッションが「カワイイ」を導く枕詞だとしても、ここまでになるなんて聞いていない。
もはやこうなっては、お人形さんみたいに可愛い、なんて表現は出来ない。
お人形の方が山本真夢みたいに可愛い、と表現すべき段階まで来ているということを人類は認識しなくてはならない。
 
もちろん彼女は動けないお人形さんではないので、アイスを一口スクープして自分で食べるなんて芸当もする〔2頁目下〕。
少しだけ、ほんの少しだけ小指が上を向いているのがもう愛おしいしなんすかその表情、「なにかしら？」とでも言いたげな、アイス溶けるよ早く早く！
 
やや下からの煽り、やや上からの俯瞰、そして目線通りのアイレベル。
全てに彼女の目線の威力を感じる。
 
えっ、私にもアイスくれるんですか、待って待って心の準備が〔6頁目上〕。
 
ヘドレや袖の継ぎ目、靴下などの小さなリボンが効果的なアクセントになっている一方で、ネイルを派手にしていないのも素晴らしい。
というか、この写真集全体に、みんな目立つネイルはしていない。
そう。ネイルに頼らなくても、被写体と衣装アレンジの威力で十分味はついているのだ。
 
カカオの属名であるテオブロマTheobromaは、theo-「神の」＋broma「食物」を意味する。
神の威光からは誰も目を背けられない。
 
崇めなくてはならない。
 
そりゃあ当たり前である。神なのだから。
 

☆Mar. 窪田ゆうり／Spring Time Strawberry

表情のころころ変わる悪戯っぽい子が好きなのでスプリングタイムストロベリーちゃんが好きです。了。
 
どうして彼女みたいな子が友達にいないのですか。私が幼少期に苺のアイスをあまり食べずに、苺の季節になると父親に倣って平底のスプーンで苺を潰し上白糖と牛乳でいちごミルクにして食べるという冒涜的なことをやらかしていたからその報いでしょうか。
せめて私の友達にいなくとも国会とかにいてほしい。そうしたら多分衆参のねじれは解消するし与野党の無駄な痴話喧嘩もなくなる。悪質なタックルもこの世から根絶するし辛口カレーを無理やり食べさせられる人もいなくなる。
 
ストロベリーは愛と平和を呼ぶのだ。平和の子。ねえ、これから晴れるよ。
いちご畑でつかまえて。スプリングタイムストロベリーフィールズフォエバー。
 
なんといってもその満開の笑顔！　ずきゅーん！〔1頁目〕
下の歯が見え、そして頬が上がって眼裂も狭まるくらいの超笑顔。
 
少しばかり落ち着いた8分咲き笑顔！　ばきゅーん！〔2頁目中〕
下の歯は隠れて目尻もそれほど下がっていない、「笑顔」と辞書で引いたら掲載されているような笑顔。
もし彼女のスマイルをも0円で売ろうものならマクドナルドはすぐさま経営が立ち行かなくなり親会社は上場廃止に追い込まれる。
 
おしとやかさの5分咲き笑顔！　どきゅーん！〔5頁目右下〕
歯はやや顔を覗かせているもののキャピキャピ感は一切感じられない大人の余裕を感じさせる笑顔。
 
微笑がえしの3分咲き笑顔！　ぼかーん！〔4頁目〕
口角だけが少し上がった笑顔。えっ、君そんな顔もするんだ……、とギャップにやられるパターンのやつ。
 
そしてスプーンを咥えてみたりおちょぼ口にしてみたりのバラエティコーナー！
細めかつ緩めにロールした触角が悪戯っぽさを増しているー！　おーっとここでイルリキウム陣営タオルです！　テクニカルノックアウトー！！
 
そんな彼女の真の強みは、袴である点に表れている。
彼女は、周りが想像しているよりも、ずっとずっと、物事を知っているし、考えて行動しているのだろう。
やればできる。きっと一人でも生きていける。
 
自立している。だからこそ一緒にいたくなるのだ。
 
まさしくそれは桜のイメージに重なる。
 
そうそう。窪田Pのブロマイド、イベント会場でも購入して大正解だった。生で喋ったらイメージ通りのストロベリーだったので思わず。
 

★Apr. 宮森セーラ／Choco-mint Lovers

チョコミン党員、総員立ち上がれ！

党首様、チョコミントラヴァーズのお出ましである！

 
彼女を前にして「チョコミントって○磨○○みたいだよね～」などとほざく輩がいた場合、総勢数億とも数十億とも言われるチョコミン党員が寄ってたかって森永ダースを口に捩じ込むと同時にハッカ油を嗅がせて貴様のメントール受容体上のイオンチャネルTRPM8を活性化させてやる。どうだ、ひんやりするだろう。
 

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……ん？
 
 

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……ん～？？
 
 
まあ過激派チョコミン党員の私の妄言は措いておくにしても、チョコミントがモガというのはとてもしっくりくる。
 
昨今の流行り具合から分かるように若者文化感もありつつ、実際はかなり昔からフレーバーとしては存在している。バスキン・ロビンスでは創業してすぐから販売されていたそうだから、1940年代後半。実に70年前だ。
そんなバックグラウンドを汲み取るようなヴィジュアル。ツートンにまとまりシックな色合い、スカーフでキュッと締まった印象に。そこに水玉や風船でポップさも追加。
デコルテが広いところにはオトナな感じが出ていて、これはチョコミントに愛された者しか出来ない着こなしですね。さすが宮森党首っす。
 
個人的なお気に入りは、スプーンをこちらに出しているカット、の左手！〔4頁目下〕
分かります？　この指の絶妙な曲がり具合。これがチョコミントの色っぽさ、艶っぽさですよ。この手の角度をチョコミン度と名付けましょう。
 
そしてそして、自分が選り好みされるタイプのフレーバーだと分かった上で、君は気に入ってくれるかしら？　と試すような横流しの視線！
噂によれば、これで数多の非チョコミン党を鞍替えさせてきたという話だ。恐ろしい人やで。
 
好きになったが最後である。
今後の人生でチョコミントを食べる度に彼女が「ほうら、虜じゃない」と攻めてくるのだ。
 
……攻められたい。もっとください。
 

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そぉい！！

 
 
☆May 最上みゆう／Candy for You

ゆめかわああああ！！
 
寒色であるパステルパープルにこんなに「可愛い」の印象付けをしたのは誰なんでしょうか。ユニコーンカラーを流行らせた人に拍手。文化勲章に匹敵します。
そして、梅雨時だからレインコートを着せようフードも被せようって発想をしたのは誰なんでしょうか。この可愛さは世界にまたたく間に広がり、国際社会の安定化や社会福祉の向上と増進に繋がるので、MGCprojectメンバーの旭日重光章以上の受勲は確実といえますね。おめでとうございます。
 
髪にひっついているちびキャンディ。
アイスにひっついている金平糖。
彼女を取り囲むシャボン玉。
傘から垂れるビーズ。
渦巻き柄のペロペロキャンディ。
紫陽花の花飾り。
 
フレームインしている全ての構成要素が可愛いオーラを発しているので、可愛いがアンプリファイして可愛さしか感受できなくなってああもう可愛い。
 
これはあれね、本当に怖い思いをしたときに声が出なくなるのと似ている。本当に可愛いものを見たときは息を呑んで何も発音できなくなる。ブローカの言語野までは動いているけど声にならないやつや。多分唇だけが「かわい……」と動いている。
 
目元のメイクとカラコンが赤ベースなのも良きですね。力があって、全体がぼやぼやになりすぎない。
ふわふわしすぎると写真の主張がブレる、というか、見る側のフォーカスが合わないが、それを見事に回避している。
 
キャンディーフォーユーって名前もこれまた良いんですよ。
そう。12フレーバー全てに言えるのが、フレーバー名の練られ方！
最近、しつこいほどに色々なところで主張しているのだが、名前はアイデンティティを規定する最重要のファクタである。
この子がもし「コットンキャンディ」なんてまんまなネーミングだったらどう思います？（ベン＆ジェリーズを叩いているわけじゃありません）
「ふわふわ梅雨ガール」とかだったら？
 
どつきまわしたろかい、と思いますよね？
 
フォーユー、の可愛さったらない。
君のためだよ、という宣言なのだ。言葉にするいじらしさ。
彼女には事あるごとに自己紹介してほしい。
「え、私？　だからキャンディ、フォー、ユー……もう、何度も言わせない」
 
余談だが、アイカツ！シリーズに登場する堂島ニーナちゃんと花園きららちゃんのヘアカラーリングを見てくれ。可愛いだろう。
 
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左：堂島ニーナ　右：花園きらら

★Jun. 久保亜沙香／Flower Fairy Bride

尊死
 
何がどうしてどうなったらこれほどの尊さを生み出せるのか全く理解できない。ほんとに人間の成し得る業？
恐らくニュートンの運動方程式でもシュレーディンガー方程式でも説明のつかない、第3の物理法則がそこにはある。まだ発見されてはいないものの、「フェアリーブライド方程式」と将来名付けられるであろう式に従う何らかの粒子が、この尊さの根源にあるとしか考えられない。そうじゃなかったら物理学の敗北です。
 
久保さんの表情。もう表現しようが無いですね。日本語の敗北も近い。
特に1頁目の俯瞰カット。まっすぐカメラを見つめるその瞳。視線がぶつかる。
瞬間、周囲の時は止まる。
ザ・ワールド。
恐らくこれもフェアリーブライド粒子（と仮に呼ぶことにする）が時間の体感に作用しているせいだ。彼女は自分が宇宙の法則を揺るがしていることを自覚しているのだろうか。
 
そして視点を少しズラすと、様々なサイズのお花に彩られた網タイツ。
写真集には収まっていないが、ヒールもこんなことになっていたというのだから、完全に異常です。贅沢が過ぎる。

 

衣装に関して言うと、イヤーアクセとお揃いのネックレスも良い。照明の加減によっては色が変わって見えるところも、得も言われぬ趣がある。
 
えーっと最終頁の、リングケースからの……この3枚の写真は禁止カードにしましょう。公式戦で使ってはダメです。相手は死ぬ。
てれてれの表情に変わっているように見えるのは、気のせいではないだろう。強い。可愛いが殴ってくる。
 
そんで再び名前の話をして恐縮ですけど、これまた素晴らしいまとまりなんですよ。3単語のフレーバーだとこれが一番好き。
何がって発音のリズム感ですよね。
ほら、実際に言ってみましょう。はいせーの。
 
フラワーフェアリーブライド。
 
はいお分かりですね。「声に出して読みたいカタカナ語」に即採用したい。
これ英語発音した方が分かりやすいな。IPA表記通りに読める自信のある方はぜひぜひ読んでください。はいせーの。
 
flaʊ.ɚ fɛəɹi bɹaɪd
 
最初の/f/2連発のおかげでリズムが作りやすいし、2+2+1音節なのも併せてテンポの良さが存分に出る。
各単語にある"r"の存在も大きい。まさに妖精のように空気に乗るような柔和さを醸し出す。
 
フラワーフェアリーブライド……気付いたら口をついて出る身体になってしまった。その度に彼女の華々しい姿を思い出してふわっと幸せに包まれるのである。
 

☆Jul. 梅原サエリ／Starry Muscat

 マスカット・オブ・アレキサンドリア。

「ブドウの女王」の異名を取るが、私に言わせれば全果物の女王だ。

あの小柄な粒の中に秘めたる毅然とした意志。口に含めば、いっぱいにムスクの芳香が広がりそこはまるで微風の吹く宮殿の中庭……。
 
7月の星空にマスカットを充てたセンスには脱帽である。
星をモチーフにしたキャラクタのイメージといえば、ともすると「キラキラきゃわわ！」といったフェミニンな感じになったり、逆に「君は小宇宙を感じたことはあるか――」などとゴリゴリになってしまったりするものだが、やはり星といえばかねてより人類を導く里程標。小粒でも目を外せない存在感。
そう。これこそマスカットだ。マスカットこそ星（？）
 
そしてその凛然たる雰囲気を表現するのに最適なキャスティング。梅原サエリ女史。
人類にとっては星は手の届かぬ存在である。どこか神秘的、どこか幽玄たる空気感を湛えているもの。スターリーマスカットには、簡単に触れられない、高嶺の花らしさを感じる。高嶺どころではない。あまりに高すぎる。第二宇宙速度を超えなくてはいけない。
 
インフィニティ型に固く結われた髪も、銀の簪も、毛先に入ったグリーンのメッシュも、彼女の引き締まったオーラを下支えしている。
全てを見通し、支配下に置く力を持っている。
彼女に「ちょっと？」と声をかけられた万引き犯については、その深い鮮緑の瞳に射竦められ瞬時に土下座、自らの罪を悔いるとともに、盗んでもいない自分のトートバッグまでもその場に置いてそそくさと逃げ帰る姿が目撃されているという。
 
そんな彼女も、アイスを手にすると表情が緩む。
 
口へスプーンを運ぶ所作は流麗ながら、一口食べた後のにこやかさは誰の心をも温かくさせる。
 
ああ、マスカットさんも普通の子なんだ。
 
こんな表情は自分にしか見せてくれない、そう勘違いしたくなるような笑顔がとんでもなく好きだ〔5頁目右下〕。
 
話はやや逸れますが、女王・マスカットのお菓子といえばマスカットの求肥包。
共楽堂の「ひとつぶのマスカット」と、源吉兆庵の「陸乃宝珠」。
どちらもそれぞれの美味しさがあって甲乙つけ難いので、食べたことのない方、ほんっとにオススメです食べてください。
ただマスカットのシーズンは終わってしまいましたね。来年の初夏まで待たされます。忘れないように今のうちにスケジュール帳に「マスカット」と書いておきましょう。
 

★Aug. 那海／Summer Orange Vacation

まぶしい～！

 
無尽蔵の生命力を持っているような子はたまに見かける。そうしてその子はパワースポットと化し、徐々に周囲へと生命エネルギーを譲渡していき、数年経つと一般的な元気レベルに落ち着いてしまうのだが、サマーオレンジバケーションにはそんな右肩下がりのフェイズは存在しない。
天照大御神の子孫とも噂される彼女が、恐らく全世界のエネルギーの数割を創出している。彼女がアイスクリームを作るときは、直接生地から吸熱してその分を撹拌のための運動エネルギーに変換しているに違いない。
 
四方八方に愛嬌を振りまくストロベリーのようなタイプと異なり、彼女は極太のパワーを指向性を持って発射するバズーカタイプだ。
とにかく、力が凝縮されている。ロストしてしまう部分が一切感じられない。
 
そのバズーカを喰らうとどうなるのか。
 
元気百倍になるに決まってるでしょうが！！
 
元気百倍を実現するために顔ごと挿げ替えるなどと、コスト対ベネフィットの芳しくないことをやっている場合ではない。そもそもあのシステムは、バタコさんの類稀なるスローイングスキルによって成り立っている。もしバタコさんが何がしかの循環器疾患によって突然病院に運ばれてしまい、1ヶ月以上の入院を余儀なくされた場合、その間、顔の交換はどうするのか。距離が届くだけではいけないのだ。濡れてしまってへばりつきやすくなっている古い顔を跡形もなく消し飛ばし、高速回転しながら首に収まるほどの速度が必要なのだ。
 
彼女の凄さが分かってきただろう。
 
衣装。もう言うことないです。
ノースリーブとショートパンツで健康的な四肢を太陽の下に晒し、更には上を脱ぎ捨てたカットまで。まさか脱ぐとは。そしてその格好のシーンからDVDが始まるとは。那海さん、シンプルにスタイルが良い。
上を脱いだら上下ホワイトになってしまってキャラクタが弱まるかな、と思ったが心配するほどではなかった。杞憂だった。
彼女の煌々と輝く笑顔と、耳元に揺れるオレンジのスライスが、サマーオレンジバケーションの主張を存分に保ってくれている。
 
厚めの唇から溢れる白い歯。
 
え、このフレーズだけでもう元気っ子のイメージできるじゃん？　最高だな？
 
最終頁の1枚は、早いところ大手の日焼け止めや清涼飲料水やその辺りのコマーシャルに起用されてください。電通も博報堂もその他の広告代理店も横一線。今がチャンスです。彼女を起用するのです。
 
 
☆Sep. 柳瀬晴日／Moon Lily Greentea

よっ、アンニュイの権化。

 
徹頭徹尾、物憂げな表情の柳瀬氏。何かを思い出したかのごとくふと笑みを零してみたり、じっとどこかを見つめて内省に耽っていたり、失われたものに思いを馳せているような哀しさを表出してみたりと、同じ「物憂げ」にもマイナーチェンジを入れてきている。素晴らしい。美しい。麗しい。努力家で天才。どっちも。
 
抹茶スイーツは人口に膾炙している。洋菓子でももはや定番で、バウムクーヘン、タルト、クッキー、プリンなど枚挙に暇がない。抹茶スイーツを目の前にしたとき、我々日本人の心はぐわっと掴まれ、暫く「お側に」「是非いただかねば」という欲に支配される。それは言ってしまえば本能的なものであり、食欲に分類されるべきではない。
 
それと、同様である。
ムーンリリーグリーンティーを前にした我々もただただ、心を寄せて会釈する他ないのだ。
ああ。敬語を使いたくなる。ここから先は使います。
 
グリーンティー様は自分自身の美しさを自認されていると拝察するが、それを表に出されることは断じて無い。それどころか、美は単なる「美」としてしか認識されていない。
その美が、周囲を狂わせる可能性を秘めていると知ってか知らずか……。
だが、彼女の貞淑さが歪んだ空気に歯止めをかけるのだ。故に、悪い虫が付くことはない。
 
……はあ。
 
みなさんこれが全てを圧倒する存在を前にしたときに出ると言い伝えられるため息ですよ。
 
このため息から幸せは逃げません。むしろため息を吐く前に吸い込んだ同体積の気体の中には佳い空気が満ち満ちています。呼吸により酸素濃度的な意味だけでなく幸せ度的な意味でも浄化をしているのです。これぞ血液クレンジング。
さあお集まりのみなさん、美しいものを前にしてため息を吐きましょう。それが幸せを手にする近道なのです。
そのためにはこちらの写真集をお手元にご準備するところから始めていただくとよろしいかと
 
……はっ！
 
みなさんこれが全てを圧倒する存在を前にしたときにうっかり新興宗教の開祖になりかけてしまう現象ですよ。
 
あまり多くを語りたくない、表在の感覚で良さを浴びたい。
 
そう思ってしまうのは、柳瀬さんが私の推しだからでしょうか。
 
 
★Oct. 滑川恭子／Sweet Pumpkin Night

仕上がってる！

 
ハロウィンは季節モノですし、テーマに仕立て上げやすい。そうなると、適当にやってもそれなりに見栄えがしたり、なんとなく作り手側も受け手側も「あっこんなんで良いかも」となったりしがちだ。人は低きに流れる。
 
いやいやいやいや。失礼。
 
失礼極まりない。
 
ここまでやっているMGCprojectが低きに流れるわけなかろう。
 
小道具としては、歯車などのガジェットが散りばめられたゴーグル付きのプチハットが秀逸。こういうの出来合いで売ってるん？　作ったんよね？
このハットのおかげで、彼女のキャラクタに「知性」「好奇心」などに似た高次のアイデンティティが付与される。
その好奇心の的になってしまったら……、彼女の瞳を見れば分かるだろう。離してくれるわけがない。
 
悪戯っぽい、と形容される表情には、ブライトで甘いイメージのものと、ダークで小悪魔的なものがあるが、彼女は後者のお手本だ。
 
ちょっと待って？
 
名前には「スウィート」とある。
彼女の土台にあるのはスウィートパンプキンだ。普通に明るい子なんだ。離れた席に教科書を忘れた子がいたらコピー取ってあげたり、カフェで割引券もらっても自分より家が近い子がいれば使うでしょ、って渡してあげたり、手打ちうどんを作っている子がいたら率先して靴下を脱いで生地を踏んであげるくらいのことはする、明るい上に人の気持ちが分かる良い子なんだ。
 
小悪魔なのは、「ナイト」だからだ。
 
滑川さんの表情を見ると、最終的に優しくしてあげると決めているからこそ、ちょっといじめたくなる、そんな可愛らしい小悪魔なのかもしれない。敢えて別の教科書のコピーを渡して「じょーだんだよ」と正しい方をあげてみたりするパターンか。人をいじるために自分が割を食うことも厭わない。めっちゃナイスガイじゃないか（脳内設定）
 
「食べる？　どーしよっかなあ……」と一口掬ったアイスを目の前で焦らしてきそうなフレーバーだ。
 
ちなみに「食べる？　あーげない！」と自分で一回食べちゃうのはストロベリーです。直後に「うそうそ」ってくれそうだけど。
 

☆Nov. 松木わかは／Dark Nutty Caramel

どうしたどうした（動揺）

 
天地、鳴動す。
10月から若干ではあるがその兆しが見えていた、写真集に押し寄せるセクシーの那海、もとい波。
「可愛い写真集を作りたい！」の言葉はどこへやら、11月のダークナッティキャラメルは口が裂けても「可愛い」などとは言えないアダルトなフレーバーであった。
本人に向かって「可愛いですね」なんてぶつけてみろ、「あら、ご挨拶ね」と吐き捨てたっきりきっと二度とこっちを見てくれやしない。
 
まるでハリウッド映画でひとつ窮地を切り抜けて一服するヒロイン。
 
はぁ……、面倒事に巻き込まれてしまったものね。窮屈な決まりごとであたしを縛り付けようったってそうはいかないわ……。
 
No more rules.
 
あっ、これKATEのCMだ。
 
がばっと空いた胸元、両腕に絡む金物アクセ、話題になっていた舌、そして黒い翼……ですか。これだけ妖しい空気感を一身に纏っているのだから、さぞ普段から大人の女性を演じるのがお得意で男女問わず嬌声を上げさせていらっしゃるのでしょう、と思いきや、どうやらそんなことはないらしい。
逆にそうなってくると、撮影現場が阿鼻叫喚に包まれたというのもリアリティのあるエピソードとして受け入れやすいわけだが。すごいな松木さん、どうやったんだ？
 
私が一番好きなのは2頁目上の一枚。表情に一番「可愛らしさ」を感じるのだ。
まあ、どちらかというと美人さんより可愛い子が好みってだけですね。この話題は終了ということで。
 
この様子だと、アイスそのものも、かなり煮詰めた苦目のカラメルなのだと思う。アーモンドも目が粗く刻まれて食感をかなり残す感じの。ムーンリリーグリーンティーの方がお子様でも食べられる。
 
そういえば、nut/nuttyにはスラングとしての用法もありますね。
crazyに似た意味合いで、「イカれた」とか「夢中だ」とかいう表現になります。
 
"I'm just nuts about Dark Nutty Caramel."
みたいなね。示唆的。ネーミングセンスすごい。
 
 
★Dec. 朝比奈里奈／Sparkling Ribbon

カメラマンまで可愛いのかよ。

 
スパークリングリボンは紛うことなきクリスマスのフレーバー。トナカイの角を模したカチューシャをつけていたり、スターリーマスカットでは頭に張り付いていた星も彼女の頭には突き立っていたり、もこもこファーのグローブに金色のリボンを巻いていたり、とんでもなくキュートである。頬にカラフルな星が舞っているのも超キュートである。肩が出ているのもめっちゃキュートである。
 
だってクリスマスだもん。
クリスマスにまつわる事物に可愛くないものなんて無い。
 
雪だるま→可愛い
サンタクロース→もこもこで可愛い
そり→滑るし空飛ぶし可愛い
ジンジャーブレッドクッキー→議論の余地なく可愛い
七面鳥→脚の感じが可愛い
靴下→形可愛い
ポインセチア→名前可愛い
イルミネーション→光ってるし可愛い
ヒイラギ→実の部分ちっちゃくて可愛い
 
ほらね。
 
サンドウィッチマン伊達のゼロカロリー理論のような牽強付会になってしまったが、それを抜きにしても彼女のくりっとした雰囲気は色とりどりのプレゼントに囲まれているのがよく似合う。
贈り物の袋をぎゅっと抱き締めているあの表情よ。守りたいこの笑顔〔4頁目右上〕。
 
そういえば、口をきりっと一文字に結んだ写真しか載っていないのはどうしてかな、と思っていた。
トークライブで生朝比奈さんを拝見したが、歯を見せて笑った姿もそれは可愛かったので、写真に残してくれれば良かったのに、とぼんやり思っている。
 
まあ十分可愛いんですけどね！
 
こんな子と年末過ごせたら今年一年のキツかったこととか全部チャラですけどね！！
 
これだけの好評を博した企画。愛に包まれ、魔法のような時間を提供してくれた企画。
世の中には、この写真集に出会えてよかった、と感じるであろう、もっとたくさんの潜在的賛同者がいるはずである。
どうやらまだまだMGCprojectはこれで終わりではないらしい。今後の展開も楽しみである。

Melty Girls Creamery + "ai" = MaGiC
……この言葉遊びもハイセンス。