論理の感情武装

PDFに短し、画像ツイートに長し

京急蒲田で果たした2つの再会と1つのはじめましての話

イルリキウムです。

去る2019年10月5日(土)、私はとある目的のために京急蒲田駅に降り立った。
 
アイカツ!シリーズオンリーイベント「芸能人はカードが命! 20」に参加するため。
具体的には、なまおじ氏のソロギターCDを入手するためである。
 

 

欲しい商品の目星をつけずに即売会などに足を踏み入れてしまうのは、私にとってはかなりの危険行為である。
なにせ、会場は広い。
面白そうなものはそこかしこに散らばっている。High endから大きな原石まで光ってる。
少しでも歩調を緩めたが最後、鋭いサークル主さんの視線に射竦められて「すすすすす素敵ですね!」なんて冷や汗をかきながらそろそろとブースに近寄ってしまうのだ。誰も「こっちおいで~」「見ていって~」「しまっちゃおうね~」とは言っていないのに、そこにはインヴィジブル・ハンドがある。屈する。これが物理学で言うところの弱い力か。違う。
そうして一度、財布の紐を緩めてしまったらそこから先はもう、イングランドはクーパーズ・ヒルを転がるチーズおよび運命を供にして転がる宮川大輔のごとく出費が止まらない。私の物欲、アンロック! アミュレット・フォーチュン!
 
したがって、私は目当てのCDしか買わない、と固く心に誓って会場へ向かったのである。
面白そうなブースがあったらチェックだけしてツイッターなどで情報収集し事後物販や次回の芸カに期待しようと思う。まあこういうこと考えてる時点で物欲ダラダラではあるが。


タイトルにある「はじめまして」というのは

もちろんサークル・selfish catfishさんのことである。
私はかなり堅い認知論者であり、直接自分で見て喋って、本名で自己紹介しないと相手の存在を明確に認知できない。モース硬度でいえば9は超えるかたさ。コランダムに傷をつけることが出来る。
勘違いしてほしくないのだが、別に私が相手の本名を知らなきゃいけないわけではない。私が一方的に教えたいのだ。名前こそ、事物を規定する最も重要なアイデンティファイアであると信じて人生を歩んできたので、名前を教えることこそが私にとっての「よろしくお願いします」である。なお、私の本名はイルリキウムではない。


そして「2つの再会」というのは

ひとつ目が、ブースで売り子をしていたまくら氏のことである。
初めて、といってもその一度だけではあるが、直接会ったのはTWEEDEESのインストアイベントの際で、そのとき私が本名で自己紹介したところ何の抵抗もなくそれはもうシームレスに彼も本名を返してきてくれた。その瞬間から彼には信頼しかない。曲の趣味も似ているはずだ。私の片想いだったらごめん。
 
ふたつ目は、『アイカツ!』というコンテンツ自体のことである。
私が最初にサイリウムを持って参戦したライブは、STAR☆ANISの公演であった。
WUGにどっぷりの期間も、VRステージを観たり、カラオケオフ会に行ったり、確実に私の休日活動を彩ってくれた作品なのだ。
さあ答えろ、バイト先の塾でお前が名札にぶら下げていたキーホルダー、それは誰だ?
 

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「夏樹みくるちゃんです!!!」

さて。
 
物事に最初に触れたときの新鮮な感情は大切にしなければならない。何事にも1回目は1回しか訪れない。
(誤解を恐れずに注釈をつけると、もちろん、任意の自然数nにおいて「n回目は1回だけ」だ)
 
ということでいつものように、新鮮な感情をプリザーブド感情にしてここに貼り付けておこう。
ただ私は、撥弦・擦弦楽器の演奏経験が無いため、奏法・技術に纏わることはコメントしにくい。うっすい感想文になる気がしている。悪しからず。
 
なお、彼のソロギターシリーズは旧譜も含めて全4作頒布してくれていたので、迷わず購入した。
新作だけ買うなんて片手落ちだ。リスペクトに欠ける。
 

◇◆1st: Solo Guitar Live for Aoi & Ichigo (2018/7/16)
 
いちあおは、うん、正義だよなあ……。
 
みなさんは覚えているだろうか? フォトカツシングルの「青い苺」ジャケット。そしていちあおによる『Wake up my music』。統計上、あのCDのリリース日が最も多くの尊死による死者が出た日だと言われている。
 
Tr.1『Move on now!』
もう、希望に満ちた序章である。
ギター1本になったおかげでキックによるビートが廃されたせいか、この曲に隠れた穏やかな表情を見せてくれている。
 
Tr.2『いざ、オーディション!』
こ、これ原曲の重音、ピアノだよ? しかもかなりハードタッチの!
それなのに元々ギター曲だったかも、と思わせるハマり具合。原曲よりテンポを上げ、緊迫感を失っていないところがお見事。
 
Tr.3『芸能人はカードが命』
この曲の前半はルートが同じ音で進んでいくので力強さとか推進力が凄い。その上に徐々に重音の音数を増していく構成、好き。
 
Tr.4『Wake up my music』
あっ(思考停止)
ここで来ると、分かっていたのに、分かっていたのに間奏から入ってきたスラムで完全に脳をやられた。
この裏拍で入る拍子の持つ威力たるや。どこにそんな感慨持ち合わせてた?
ビートを入れることで、大サビ前とのコントラストがつくのも憎い。泣くやろ。泣いた。
 
Tr.5『prism spiral』
前奏のリフが趣深い。もう200小節くらい聴いていられる。
〈キラリ〉の装飾! これは原曲準拠、さすが。
サビ終わりのカウンターも、間奏のサンプリング部分も再現しようという点に私は惚れています。楽曲オタク同士分かり合うところがある。
 
Tr.6『カレンダーガール』
2Aでシンコペいじってきた……! ずるっ……!
サビの下ハモが綺麗に聴こえてきて悶えます。超名曲。
 

◇◆2nd: Have a Nice Trip! - Solo Guitar Katsudou! - (2018/11/18)
 
ジャケットは「アキコレ」を思い出す仕様。え、ってかひなき可愛すぎね? ひなき可愛い。ひなき。
 
Tr.1『トキメキアンテナ』
あ~ウキウキのハイハットが聴こえてくるようだ~!
アルバムタイトルになっている\Have a Nice Trip!/の合いの手が自然に出てくる、手招きするようなメロディの捌き方。明らかに1作目よりも安定感を増しているように感じる。ベースも歩いているしすげぇ(語彙力)最後のピッツィカートみたいなやつなんなん??(語彙力)
 
Tr.2『アイドル活動 (cafe ver.)』
カフェでギターソロ……そうだよねボッサ風だよね! 分かり手!!
と思ったらBメロは少々挑戦的。総合的に聴いたらそれほどボッサでもなかったかもしれない。ハーモニクスも鮮やかで割とポップス。
個人的にエモポイントはAメロラストの【Ⅳm/Ⅰ→Ⅰ】。原曲では単純にルートトライアドのところ。
単純明快なテーマ曲として、秀和さんが敢えて除いているだろう半音移動。ここは入れるのが良きかな良きかな!
 
Tr.3『Thrilling Dream』
またベースが歩いているこわい
これだけの曲をfull尺で収録するのは本当に命削れると思う。自分がピアノで弾くとしたらそう。
 
Tr.4『放課後ポニーテール』
あっぱらぱーな雰囲気から顔を覗かせる、いつか訪れる青春への別れに対する切なさ。感じる感じる。
メロディを多少引っ掛けてでも、Ⅴaugを駆け上がるサビ前のフレーズを落とすまいとする気概も感じる感じる。
 
Tr.5『サマー☆マジック』
放課後ポニーテールからの流れで聴くとこれは堪える……。
夏っても多分これは夕暮れ時。オトナな雰囲気。
 
Tr.6『恋するみたいなキャラメリゼ
このアルバムで確信を得たが、なまおじ氏のギターは石濱さん曲の咀嚼力が凄い。
ガーリィポップスのキュンキュン感に説得力がある。
 
Tr.7『SHINING LINE*』
ヤバです。狭いレンジにまとまった音が幅を持って耳に飛んでくる。国語辞典の「アンニュイ」の項目に載せたい。
そしてハーモニクス! 殺す気か!
大サビ頭の3連符フィルイン! 死んだ!
この曲踊ったことあるんです。ダンスは楽しいんだけど、曲はどうしようもない泣き曲なんだよなあ……。
 

◇◆3rd: Solo Guitar Katsudou! -With Friends- (2019/2/24)
 
『フレンド』は紛うこと無く天才の書いた作品である。
 
そしてありがとう、冴草さんに眼鏡を掛けてくれて。
 
これ間違ってたら本当に妄想ですみませんだが、このジャケットのCDの最終曲にこれを持ってきたということは、きいとセイラの『フレンド』って解釈していいのだろうか。
実は私は、この曲を聴くたびに、冴草と音城の友情をベースに感じてしまうのだ。いちごがどうこう、という訳ではなく、このカップリングが好きなだけなのだが、この曲は彼女たちの曲にしてあげたい。そういう情が働いてしまう。
 
もう一度言う。
『フレンド』は天才の書いた作品である。
作詞作曲編曲、歌手演奏家、関わった全ての人間が天才である。
 
Tr.1『ハッピィクレッシェンド』
やっぱり石濱曲強い。軽やかなリズムのせいなのだろうか。
〈嫌んなる〉の再現も。こうしたところにオタク魂を感じるのだ。
 
Tr.2『オーロラプリンセス』
ぱんぱかぱんぱんぱーん♪
Tr.1よりも少し金属的な音に聴こえるのは、ミックスが変わったせいか、それとも楽器のせいか。
中間部にポップス・ロック的な進行があったり、マリア本人の雰囲気も併せて国籍不明感のある本曲に、絶妙に合った音色。
6/8的アプローチになる2Aも素敵!
 
Tr.3『新・チョコレート事件』
aug祭り。これを落とさない技術は信用のなまおじブランドである。
……指どうなってんの?
 
Tr.4『Precious』
生で聴き入りたい一曲。
本当に落ち着いている。焦りを感じない。
 
Tr.5『フレンド』
上ハモ入れてきたかー、アツいなー。
完全にメロディとバッキングが別個に聴こえるので、ええ、これギター1本で弾けるのか……とピアノ弾きは戦慄した。
クラッチまで再現している……どういうこと……。
と! 間奏まで来て私は気付く!
これはクラシックギターとアコギの2本使いだ、と!
さっき音色が変わったのもそのせいだ、と!
もうね、ギターを普段聴かないせいで耳が鈍ってるんすよすいません。
……そして。なるほどなるほど、種明かしもあったのか。意欲作だ。
 

◇◆4th: Solo Guitar Katsudou! - Stairway to Queen - (2019/10/5)
 
ああ~CD本体には別カットの線画が~(こういう小さいこだわりに弱いオタク)
ジャケットのあかりが本当に、自信に裏付けられた落ち着いた笑顔なんだよな。と て も よ い。
 
Tr.1『Introduction』
あのテンポってことは下り階段かな? いや、駆け上がっている?
ファスナーの音から、親の子守唄より聴いたおなじみのフレーズ。もうすでに込み上げるものがある。
 
Tr.2『Let's アイカツ!
転調を含んだフレーズ間の繋ぎも恐るべきスムーズさ。
疾走感のある16分のフレージングもスパイス!
アッ ハーモニk(失神)
 
Tr.3『ハートのメロディー』
あかりジェネレーションすなわち3rd seasonに入る前のエピソード。
彼女の成長物語をなぞる上で欠かせないワンピース。
〈ねぇ ねぇ ねぇ〉の可愛さが存分に出ているギターである。
 
Tr.4『Blooming♡Blooming』
なまおじさんあなたがスターライトクイーンだ。
間奏に相当気を遣ったプレイングになったと思うが、その他の部分も聴きどころ満載。
 
Tr.5『START DASH SENSATION』
原曲の、ど頭のピアノ1音のみで爆発四散するアイカツ!ファンは数知れない。
MF2017では、遠藤瑠香さんがこの曲の途中で胸が一杯になり歌えなくなってしまった。その際、客席からどんどんと声が上がって、彼女を支えたのだ。その空間に居合わせた者として、この曲で思い出してしまう情景はあまりに多い。
そう。ここが、クイーンへの階段を登り続けた彼女の、一旦の終着点。
そして、またここから。
 
気付いたらボロ泣きしていた。
 
ワンフレーズずつ、あの場面、この場面を思い出させてくる間奏は反則の一言。
音楽の教科書に載せて全国民が学ぶべきアレンジ。
 
Tr.6『Lovely Party Collection』
涙の後には笑顔で!
そんな気持ちで、最後にこの曲をセットしたのだろう。笑えないテクニカルなことやってるけど。
これぞ、大空あかりの物語。浸らせてもらった。
 

本当に素晴らしい作品群だった。私もピアノがんばろ。楽しもう。